表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嫌われようと努力したのに、今日も攻略対象に追いかけられています。  作者: 限界まで足掻いた人生


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/240

38話 運命の導き手

私は、オーロリア王国の王宮の一室で、報告書に目を通していた。


この数日、オーロリア王国とヴァーレント王国の国境付近で、奇妙な出来事が起きている。大規模な武力衝突が起こり、そして、何の理由もなく、まるで時間が巻き戻ったかのように、戦争が止まったのだ。


私は、この不可解な事態に、ただの偶然だとは思えなかった。


その時、私の執事が、静かに部屋に入ってきた。


「レオンハルト殿下、緊急のご報告がございます」


「どうした?」


「ヴァーレント王国の第一王子、ライオネル殿下が…」


私は、その言葉に、息をのんだ。


「ライオネル殿下が…意識不明の重体で、王宮に運び込まれたとのことです」


私は、その言葉に、全身の血が凍りつくのを感じた。ライオネルは、クロード殿下の最も親しい友人だ。そして、私にとっても、良き友人だった。


「どうして…なぜ、こんなことに…」


私は、理由が分からなかった。


その時、私の頭の中に、直接、声が響いた。


「おめでとう、レオンハルト。ようやく、君の出番が来たようだな」


その声は、どこか楽しげで、しかし、冷たい響きを持っていた。


私は、驚きを隠せずに、辺りを見回した。しかし、部屋には、私と執事しかいなかった。


「私は、この世界の運命を支配する、三柱のカミの一柱。我が名は、知神チシン、アザトース」


知神、アザトース。


私は、その言葉に、体が硬直するのを感じた。


「お前は…カミ…?」


私は、震える声で尋ねた。


「そうだ。そして、君は、この世界を救う、最後の希望だ」


アザトースは、そう言って、私に語りかけた。


「君の友、ライオネルは、クロードとリリアーナの、歪んだ愛によって、命を落としかけている」


その言葉に、私は、胸が締め付けられるような痛みを感じた。クロードとリリアーナの愛が、なぜ、ライオネルの命を奪う?


「君は、この世界の運命を、正常な状態に戻すことができる。君には、その知恵と、勇気がある」


アザトースは、そう言って、私に、一つのヴィジョンを見せた。


それは、クロード殿下とリリアーナが、互いに、苦しそうに、愛を語り合う姿だった。そして、その二人の周りには、黒い靄が渦を巻いている。


「千鶴は、この世界の運命を混沌に陥れることで、退屈を打ち破ろうとした。武神は、その混沌を、新たな物語の始まりとしようとした。だが、彼らは、道筋を間違えた」


アザトースの声は、静かに、しかし、力強く、私の心に響いた。


「この世界の運命を、あるべき姿に戻すには、クロードとリリアーナの愛を、正しい形に戻す必要がある」


私は、その言葉に、迷いが生じた。


クロード殿下とリリアーナを、このまま、カミの思惑通りに動かすのか。


だが、ライオネルの命を救うためには、他に方法がない。


「どうする、レオンハルト。君は、この世界の運命を、どう導く?」


アザトースの声が、私の心に、深く問いかけた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ