27話 偽りの告白と決意
時は数刻戻り
俺は、燃え盛る戦場を背に、リリアーナを抱きかかえていた。彼女は、ライオネルの死に打ちひしがれ、涙を流している。
「クロード…私…私のせいだわ…」
俺は、彼女の言葉を聞きながら、心の中で、冷たい決意を固めていた。
俺は、もう、愛を信じない。
俺が愛を信じれば、誰かが不幸になる。俺が愛すれば、誰かが死ぬ。
リリアーナを、このまま愛し続ければ、彼女もまた、この運命の渦に飲み込まれて、いつか、俺の手の届かない場所に行ってしまうだろう。
それは、耐えられない。
俺は、彼女を、この悲劇から守るために、ある決断を下した。
「リリアーナ…」
俺は、彼女の涙を拭い、まっすぐ彼女の目を見つめた。
「俺は…お前を、愛していない」
彼女の瞳が、驚きと、信じられないという色に染まる。
「え…?」
「俺は、お前を、利用していただけだ」
俺の言葉は、まるで氷のように冷たかった。
「お前が、この世界の鍵だということを、千鶴から聞いた。だから、俺は、お前を、俺のそばに置いた。俺の目的は、ただ、お前の力を使って、この世界を、俺たちの思うがままに動かすことだった」
俺は、嘘をついていた。
俺の胸は、痛みに引き裂かれそうだった。だが、リリアーナを守るためには、この嘘が必要だった。俺を憎んでくれ。俺を、恐れてくれ。そうすれば、お前は、この運命から、逃れることができる。
「そんな…嘘だわ…」
彼女は、震える声で、そう呟いた。
「俺は…もう、父も母も…ライオネルも失った。俺は…愛を信じない。俺が信じるのは、力だけだ」
俺は、彼女を突き放すように、冷たい言葉を続けた。
「お前も、俺の邪魔をするなら、容赦はしない」
リリアーナは、その言葉に、絶望に満ちた表情を浮かべた。そして、俺の手から、ゆっくりと離れていった。
「そう…だったのね…」
彼女は、そう呟き、俺に背を向け、去っていった。
俺は、彼女の後ろ姿を、ただ見つめることしかできなかった。
俺は、愛する人を遠ざけることを選んだ。
これでいいんだ。
俺は、自分に言い聞かせた。
彼女が、俺から離れて、幸せになるなら、それでいい。
しかし、俺の心は、空虚な痛みに満ちていた。愛を失い、復讐という名の、新たな道を選んだ俺は、これから、一人で、この世界と戦っていくのだろうか。
カミども…見ていろ…
俺は、憎しみを込めて、そう心で呟いた。
俺は、お前らを、この世界から、消し去ってやる
俺の瞳に、冷たい光が宿った。




