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嫌われようと努力したのに、今日も攻略対象に追いかけられています。  作者: 限界まで足掻いた人生


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191話 最後の後悔と論理の逆転

リアンがリリアーナ女王の身体を支え、全神経を時の砂時計の停止へと戻そうとした、その瞬間。


極限まで張り詰めていた彼の精神的な集中は、女性の温もりと憔悴というあまりに大きな非合理な刺激によって、完全に途切れた。


「しまった…!」


リアンが全身を冷や汗で濡らした直後、石室全体に重低音の「ゴォォォ」という駆動音が響き渡った。停止していた巨大な砂時計が、その青い光を加速させながら、再び常識外の速度で移動を再開しようと振動し始めた。


リアンはパニックに陥り、崩れた膝を無理やり地面に押し付け、能力を再集中させようともがく。


「くそっ…止まれ!止まってくれ…!」


最後の告白

リアンの焦燥をよそに、リリアーナ女王は、まるで彼の存在が目に入っていないかのように、虚ろな瞳で砂時計の輝きを見つめ、静かに、そして病的なまでに独白を続けた。


「私たちは、結局、全てに間に合わなかった。間に合わなかったのよ、リアン様」


彼女は、自身の最大の失敗について語り始めた。


「最終決戦の後、私は残された者たちと、セバスチャンの遺した旧研究所の知識、そしてフレア王国と同盟国全ての技術を結集させて、一つの装置を完成させたの。…あの時、戦場に間に合っていたなら、皆を救えたかもしれない、最後の希望だったのに」


リリアーナの独白は、その装置の究極の機能へと及んだ。


「その装置は、私に王族特有の魔術を大幅に、そして…私を好きになった人たちの能力を、劣化バージョンではあるけれど、使えるようにするものだったわ」


彼女は、その機能が持つ皮肉を理解し、自嘲的な笑みを浮かべた。


「クロード王子の戦略眼を、レオンハルト殿下の防御力を、ライオネル殿下の攻撃力、そしてセバスチャンの非合理的な戦闘技術を、私が使えるようになる。…その装置が、三日前に完成したのよ」


リリアーナは、乾いた瞳でリアンを見た。


「皆が、私のために命を捨てた後に、私は皆の力を手に入れた。この皮肉が、私の最後の後悔。…私は、この力を、もう誰のために使えばいいのか、分からない」


リアンは、砂時計の再起動を必死に抑えようと精神を摩耗させながら、リリアーナの独白を聞いていた。彼は、その言葉の中に、砂時計を止める能力そのものよりも、この世界を救う最後の手段が隠されていることを悟った。


そして、リリアーナの最後の独白が終わった瞬間、砂時計の振動は限界に達し、再起動の準備を完了した。

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