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嫌われようと努力したのに、今日も攻略対象に追いかけられています。  作者: 限界まで足掻いた人生


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162話 究極の道具と最後の抵抗

アザトースが憑依したノエマの肉体は、冷徹な知性によって極限まで研ぎ澄まされていた。その立ち姿は、もはや武神の暴力やノエマの憎悪ではなく、絶対的な合理性に基づく、究極の人間兵器の完成形だった。


「リリアーナ様。カミの魔力は封じましたが、彼の論理は残っています。ノエマの肉体は、人間の限界を超えた攻撃力を持っています」


カイは、その人造の知性でノエマ(アザトース)の力を分析し、警戒を強めた。


傷ついた騎士たちの最後の盾

ノエマ(アザトース)は、私たちを排除するため、無駄のない動きで突進してきた。その速度は、セバスチャンとの戦いの時よりもさらに速い。


「無意味な抵抗だ。論理的な結論に基づき、君たちの存在はここで消去される」


「させるか!」


重傷の身であるライオネル殿下とレオンハルト殿下が、同時にノエマの前に立ちはだかった。


「ライオネル!動かないで!」


私は叫んだが、ライオネル殿下は、左腕からの激痛を無視し、右手の剣を構えた。


「リリアーナ様。私の左腕は、友との運命のために失われた。この命は、もう誰の論理にも従わない」


レオンハルト殿下も、武神の血の力を限界まで引き出し、ノエマの攻撃を受け止めた。彼は、愛するリリアーナの願い、すなわち世界の自由を守るために、最後の盾となった。


彼らの動きは、重傷のために鈍かったが、その瞳には、人間としての自由な意志という、カミの論理が最も理解できない光が宿っていた。


ノエマの論理とカイの非合理

ノエマは、ライオネル殿下の防御を0.5秒で破り、彼らを打ち砕こうとした。


排除イレイズ!」


その瞬間、カイが動いた。彼女は、セバスチャンの最後の情報、「論理の自己否定」という究極の非合理な鍵を、ノエマの動きの軌道に投げ込んだ。


「アザトース!あなたの論理は、この肉体の非人道的な起源を否定できない!」


カイの放った論理のノイズは、ノエマの動きを一瞬だけ混乱させた。彼女の肉体に宿るアザトースの意識が、自分自身の過去の失敗に直面したのだ。


その一瞬の隙に、ライオネル殿下とレオンハルト殿下は、ノエマの攻撃を回避し、私たちに道を開けた。


「リリアーナ様!早く、この場所から!」レオンハルト殿下が叫んだ。


逃走と最後の使命

私たちは、瀕死の二人の騎士をその場に残し、崩壊した研究所からの脱出を急いだ。彼らの犠牲は、私たちにアザトースの論理の弱点と、最後の時間を与えてくれた。


「カイ!アザトースを完全にこの世界から消し去る方法は!?」


私は、クロード王子の剣を握りしめ、出口へと走った。


「彼を倒すには、彼の論理の絶対的な根拠を、現実世界から抹消するしかありません。彼が、この肉体を得るために利用した、大皇国オウコクトウの『究極の秩序』の象徴を破壊するのです!」


私たちの最終的な使命は、アザトースとの直接戦闘ではなく、彼がこの世界に築き上げた論理の構造そのものを破壊することへと変わった。

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