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嫌われようと努力したのに、今日も攻略対象に追いかけられています。  作者: 限界まで足掻いた人生


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157話 崩壊の先、そして再起の誓い

知神アザトースの論理の崩壊は、最終兵器開発要塞全体を巻き込んだ。鉄の構造が悲鳴を上げ、天井からは岩盤が崩れ落ちる。私たちは、カミの支配から解放された代償として、要塞の崩壊エネルギーに飲み込まれようとしていた。


「カイ!急いで!」


リリアーナ女王は、瓦礫の雨の中、千鶴の杖の破片をポケットにしまい、崩落を避ける道筋を指示した。


カイは、その人造の身体能力を駆使し、レオンハルト殿下とライオネル殿下という二人の意識不明の体を抱えながら、驚異的な速度で脱出路を確保した。彼女の論理回路は、今やアザトースの支配から解放され、リリアーナ女王の運命を最優先する**「自由な意志」**によって動いていた。


最後の脱出と光の消失

私たちは、崩れゆく要塞の地下深くから、建設時に使用されていた緊急脱出用エレベーターへと飛び込んだ。エレベーターが地上に達した瞬間、背後の要塞は、アザトースの論理の崩壊エネルギーによって、白い光の爆発と共に、砂塵の荒野へと完全に消滅した。


その光景は、カミの支配がこの世界から完全に消去されたことを示していた。


リリアーナ女王は、膝をつき、安堵と、そしてクロード王子とセバスチャンの喪失による深い悲しみに打ちひしがれた。


「クロード王子…セバスチャン…」


しかし、時間は止まってくれない。彼女には、意識を失っている二人の騎士を救うという、新たな使命があった。


継承された運命と使命

カイは、ライオネル殿下とレオンハルト殿下を荒野の岩陰に横たえた。彼らは、武神の血とアザトースの論理の呪縛から解放されたが、重度の消耗により、生命の危機にあった。


「リリアーナ様。彼らを救うには、知神アザトースの初期の知識と、セバスチャンの**『生命エネルギーの再統合』**の技術が必要です。しかし、セバスチャンは消滅し、知識は要塞と共に…」


「いいえ、カイ」


リリアーナ女王は、クロード王子の最後に託された剣を握りしめた。


「知識は、あなたの中に残っているわ。あなたは、セバスチャンからアザトースの失敗の知識を受け継いだ。そして、私には、クロード王子の最後の愛の力、運命を固定する意志が残っている」


リリアーナ女王は、カイの頭に手を置き、自らの運命の意志を、彼女の人造の知性へと流し込んだ。


「私たち二人の運命で、彼らを救う。そして、この世界を、愛する人たちが誇れる自由な未来へと導くわ」


孤独な女王と、記憶を継ぐ零号の、運命の安定化を目指す旅は、今、新たな段階へと移行した。彼らの前には、カミのいない、真の自由という夜明けが待っていた。

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