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嫌われようと努力したのに、今日も攻略対象に追いかけられています。  作者: 限界まで足掻いた人生


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156話 論理の崩壊と運命の解放

リリアーナ女王は、目の前に浮かぶアザトースの光の結晶、すなわち究極の論理の中枢へと、千鶴の杖の破片を突きつけた。


「カイ!今よ!セバスチャンの最後の知識を解放して!」


カイは、人造の知性を集中させ、アザトースの論理を内部から破壊するための究極の非合理な情報を、演算室全体へと解き放った。


「アザトースの論理へ!あなたの存在の起源は、『失敗と非合理な愛』であるという『自己否定の真実』**を注入します!」


論理の破綻

その情報は、知神アザトースが最も隠したい過去――彼の知識のプロトタイプがセバスチャンの肉体という**「失敗」から生まれたこと、そしてクロード王子の愛がその論理を打ち破った「非合理」**であるという、存在そのものの根源的な矛盾だった。


アザトースの光の結晶は、激しくノイズを上げ、青い紋様が制御不能な赤と黒のパターンへと変色した。


「な…に…!このデータは、究極の矛盾!私の論理の根幹を、否定する…!」


アザトースの思考は、自身の論理的な自己否定という、彼にとって最も耐え難い矛盾に直面し、完全に崩壊し始めた。彼は、制御不能なエネルギーを放出し、光の結晶はヒビ割れていく。


最後の楔

「クロード王子の命を懸けた、愛の証明よ!」


リリアーナ女王は、砕け散るアザトースの結晶めがけて、千鶴の杖の破片を投げ込んだ。破片は、クロード王子の最後の愛の意志を帯びており、結晶の核心へと突き刺さった。


その瞬間、要塞全体が激しい振動に見舞われた。


アザトースの論理の崩壊は、彼の知識によって強化されていたライオネル殿下とレオンハルト殿下にも影響を及ぼした。彼らの瞳から青い光が消え、意識を失い、その場に倒れ伏した。


そして、武神・耕太と鶴神千鶴の肉体の残骸も、アザトースの論理構造から切り離され、単なる物質へと還元された。カミの干渉の全てが、この世界から、完全に消去されたのだ。


「成功したわ…!」


リリアーナ女王は、安堵と共に、その場に膝をついた。


新たな運命の夜明け

要塞の崩壊が始まる中、カイがリリアーナ女王に駆け寄った。


「リリアーナ様!早くここを離脱しなければ!要塞全体が、論理の崩壊エネルギーによって消滅します!」


カイは、意識を失っているライオネル殿下とレオンハルト殿下の体を抱え上げ、リリアーナ女王を促した。


私たちは、カミの支配から解放された世界で、新たな運命を生きるために、崩れゆく要塞から脱出した。クロード王子の犠牲、セバスチャンの献身、そして私たちが築いた愛と矛盾の力が、この世界の運命を、人間の自由な意志へと、永遠に解き放ったのだ。

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