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嫌われようと努力したのに、今日も攻略対象に追いかけられています。  作者: 限界まで足掻いた人生


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155話 論理の終着点と最後の賭け

レオンハルト殿下が、愛と献身を力に変え、ライオネル殿下の剣の軌道を逸らしたことで、私たちは二人の防御線を突破することができた。廊下の奥からは、レオンハルト殿下がライオネル殿下の論理的な追撃を阻止しようと、必死に時間を稼いでいる音が聞こえてくる。


「レオンハルト殿下の犠牲を無駄にはしないわ!」


リリアーナ女王は、クロード王子の剣と千鶴の杖の破片を握りしめ、要塞の奥へと駆け込んだ。


「リリアーナ様、論理のエネルギーが最も集中している場所です!最終調整室が近い!」


カイは、人造の知性で、要塞の構造とエネルギーの流れを解析し、私たちを導いた。


最終調整室

私たちは、巨大な金属製の扉を破り、要塞の最奥部、最終調整室へと突入した。


部屋の中央には、巨大な青い光の結晶が浮かんでいた。それは、アザトースの究極の知識が具現化したものであり、この世界全体を支配しようとする論理の中枢だった。


そして、その結晶の周りには、二つのポッドが静かに設置されていた。


一つには、武神・耕太の肉体の残骸が。そしてもう一つには、鶴神千鶴の肉体の残骸が。アイザトースは、彼らの力を論理的資源として利用し、自身の論理構造に組み込もうとしていたのだ。


そして、その全てを統括するように、部屋の奥には、知神アザトースが、青いエネルギーの渦の中で静かに浮遊していた。彼の周囲には、世界中の運命のデータが、光の粒子となって飛び交っている。


「予期せぬノイズの侵入。レオンハルトが、自己の愛という非効率な要素で、私の論理を裏切ったか。だが、もう遅い」


アザトースの声は、冷徹な勝利を確信していた。


「運命の安定化は、99.9999パーセント完了した。残るは、最終的な運命の『定礎ていそ』のみ。人間が、カミの論理の元に生きる、究極の秩序が完成する」


最後の非合理な賭け

リリアーナ女王は、アザトースの論理の前に、一切怯まなかった。彼女の心には、クロード王子の最後の愛の力、そして仲間たちの犠牲が燃え盛っていた。


「アザトース!あなたの秩序は、人間の自由な意志を認めない!私たちは、あなたの論理を、ここで終わらせる!」


「カイ!」リリアーナ女王は叫んだ。


「プロトタイプ知識の起動準備!セバスチャンの最後の情報、**『アザトースの論理の致命的な盲点』**を解放する!」


「承知いたしました。しかし、リリアーナ様。その情報を解放すれば、アザトースの知性は崩壊します。その反動で、この要塞全体が、知性の崩壊エネルギーによって消滅する可能性があります!」


「構わないわ。クロード王子が教えてくれた。愛と運命の力は、論理的な命の計算を超越する」


リリアーナ女王は、千鶴の杖の破片を、アザトースの光の結晶めがけて構えた。これが、運命を解放する、最後の、そして最も非合理的な賭けだった。

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