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嫌われようと努力したのに、今日も攻略対象に追いかけられています。  作者: 限界まで足掻いた人生


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154話 秩序の番人と非合理な愛の力

要塞の無機質な廊下の奥から、『論理の剣』ライオネル殿下と**『不滅の盾』レオンハルト殿下が、完璧な速度で私たちの前に現れた。彼らの軍服は清潔で、武神の血の残滓もアザトースの論理の光も、全てが究極の効率**のために調整されていた。


「リリアーナ様、クロード王子殿下の運命の解放の同志よ。君たちの侵入は、この論理的秩序に対する最大の非効率である」


ライオネル殿下が、静かに剣を構えた。彼の声は、かつての友の記憶を微塵も感じさせない、冷たい論理だった。


「我々の使命は、秩序の維持。君たちの感情的な意志は、ここで排除される」


感情のノイズと論理の防御

カイは、一歩前に進み出た。彼女は、セバスチャンから受け継いだ零号の技術と、論理の盲点を知っている。


「リリアーナ様。彼らは、論理的に存在しない行動に、最も処理時間を割きます。感情的な揺さぶりをかけながら、私の知識を彼らの論理回路に注入します」


カイは、その人造の身体能力を駆使し、レオンハルト殿下の防御の隙間を縫って、ライオネル殿下に肉薄した。


「ライオネル!あなたの剣は、リリアーナ様(異世界からの)の命を救うために振るわれたものよ!その友情は、論理で消えるのか!」


カイの言葉は、ライオネル殿下の動きを0.1秒だけ遅らせた。彼は、その言葉に含まれる非合理な感情と過去の事実を、論理的に解析しようとしたのだ。


その刹那、レオンハルト殿下が、カイとライオネル殿下の間に割り込んだ。


「不要なノイズだ。ライオネルの論理を乱すな!」


レオンハルト殿下の武神の力が、究極の防御として発動する。彼は、かつて愛した本物のリリアーナが望んだ運命のために、この**「偽りのリリアーナ」**とその仲間を排除するという、悲しい使命を全うしようとしていた。


究極の愛と最大の裏切り

「レオンハルト殿下!」


リリアーナ女王は、彼に向かって叫んだ。


「あなたの愛は、亡きリリアーナ様の魂が望んだ自由な未来を、守るためのものではなかったのですか!なぜ、その愛を、カミの秩序という檻に閉じ込めるのです!」


リリアーナ女王の言葉は、レオンハルト殿下の心臓を打った。彼の愛は、アザトースの論理によって**「秩序の守護」**という役割にねじ曲げられていた。


レオンハルト殿下の瞳が、一瞬、激しく揺らぐ。彼の脳裏に、本物のリリアーナの最後の笑顔がフラッシュバックした。


「愛は…リリアーナ様が望んだ秩序だ…」


彼は、そう呟くと、自らの武神のエネルギーを、ライオネル殿下の剣めがけて放った。


ガアァン!


レオンハルト殿下は、ライオネル殿下の剣の軌道をわずかに逸らすために、自らの命を犠牲にするほどの、究極の防御を繰り出した。


「レオンハルト!」ライオネル殿下は、論理的な計算を超える友の行動に、再び動揺した。


この一瞬の隙に、リリアーナ女王とカイは、二人の防御線を突破し、要塞の最奥部へと向かった。彼らの後ろで、レオンハルト殿下の体が、激しく損傷する音が響いていた。


私たちは、友の犠牲と愛の残滓を背負い、アザトースの究極の論理が完成する場所へと、最後の突入を開始した。

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