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嫌われようと努力したのに、今日も攻略対象に追いかけられています。  作者: 限界まで足掻いた人生


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153話 鉄の監獄と論理の防御壁

リリアーナ女王とカイは、アザトースの最終拠点である最終兵器開発要塞の巨大な壁の前にたどり着いた。この要塞は、大皇国の科学力とアザトースの知識が融合した、究極の秩序を具現化した鉄の監獄だった。


「リリアーナ様、要塞の防御システムは、アザトースの論理的法則によって完全に制御されています。物理的な突破は不可能です」


カイは、その人造の知性を駆使し、要塞の防御機構を分析した。壁の表面に走る配線やセンサーは、アザトースの青い紋様と同じく、一切の非合理的な侵入を許さない設計だった。


「彼の論理を打ち破るには、論理的な矛盾をシステムに注入するしかない」


リリアーナ女王は、千鶴の杖の破片と、クロード王子の剣を握りしめた。


欠落した知識の扉

「カイ。セバスチャンが託した情報、**『アザトースの論理の致命的な盲点』**を思い出して」


「はい。アザトースの論理は、**彼自身が関与した『失敗の記録』には対応できません。その失敗とは、セバスチャン(零号)の誕生です。この要塞の防御システムは、セバスチャンの初期データ、すなわち『人造の失敗作』**に関する情報を持っていません」


カイは、一歩前に進み出た。彼女の体には、セバスチャンと同じ零号の技術と、彼が研究所で得た失敗の知識が流れている。


「論理的な防御は、予測できる脅威にしか対応しません。私は、このシステムにとって**『存在しない、過去に抹消されたはずのデータ』**として侵入します」


カイは、手のひらを要塞の壁にかざした。彼女の体から、アザトースの論理とは相容れない、不確定な初期の知識が、壁の電子回路へと流れ込んでいく。


一瞬、要塞の壁に張り巡らされた青い論理の紋様が、激しいノイズを上げた。


「成功です!システムが私を**『定義不能なエラー』**として処理し、侵入経路が確保されました!」


要塞の壁に、数秒間だけ、人間の体一つが通り抜けられるほどの、不規則な歪みが生じた。


「行くぞ、リリアーナ様!」


二人は、その歪みの中へ滑り込んだ。


論理的な恐怖

要塞の内部は、外部の鉄壁の印象とは異なり、冷たい光と、無機質な静寂に包まれていた。廊下には、無人の巡回兵器ドローンが、完璧な間隔と速度で巡回している。


「ここは、アザトースの**『論理的な思考空間』**そのものね」


リリアーナ女王は、その完璧な秩序に、ある種の恐怖を感じた。自由な感情が排除された空間だった。


カイは、要塞の奥、最も論理的なエネルギーが集中している場所を指差した。


「あそこです。アザトースが、ライオネル殿下とレオンハルト殿下を**『秩序の礎』へと再編成している場所です。彼らが最終的な論理構造**として完成される前に、到達しなければなりません」


しかし、廊下の奥から、二体の影が、完璧な速度でこちらへ向かってくるのが見えた。


「来たか。アミューズメントの終了だ」


クロード王子が最も愛し、最も信頼した二人の騎士が、アザトースの論理の元、最後の防衛線として立ち塞がろうとしていた。

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