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嫌われようと努力したのに、今日も攻略対象に追いかけられています。  作者: 限界まで足掻いた人生


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150話 砂塵の進軍と嵐の予兆

リリアーナ女王とカイは、盗んだ軍用車両を乗り捨て、荒涼とした砂塵の荒野を馬で進んでいた。ここは、大皇国の管理体制の監視が届きにくい、広大で未開の地だ。


「リリアーナ様。この荒野の気流は異常です。武神の力が消えたにも関わらず、不確定な魔力のノイズが強まっています」


カイは、その人造の知性を使い、周囲の環境変化を敏感に察知した。彼女の論理は、千鶴の混沌が、この大地に何らかの仕掛けを施していることを示していた。


「千鶴は、私たちが要塞にたどり着く前に、混沌の障壁を築こうとしている。彼女の物語は、いつも、主人公が最も困難な状況に陥ることを望むわ」


リリアーナ女王は、クロード王子から受け継いだ運命の意志を胸に、馬を駆った。彼女の心には、アザトースの論理だけでなく、千鶴の混沌にも打ち勝つという強い決意があった。


ヴォルク少将の追跡

同じ頃、東部海域の航路を巡回していた北方自由連合のフリゲート艦隊は、ヴォルク少将の指示のもと、全速力で陸地に近づいていた。


「少将!嵐の発生地点を特定しました!その中心は、20年前の事件で確認された**『時の海賊』**の船団の旗印、三つの渦巻きと同じパターンを示しています!」


通信士の報告に、ヴォルク少将の顔は硬く引き締まった。


「やはり千鶴め。彼女は、過去の遺物を利用して、リリアーナ女王の運命を弄ぼうとしている。嵐の中心にあるのは、単なる海賊ではない。時の流れを歪ませる能力を持つ、混沌の触媒だ」


ヴォルク少将は、戦略盤上のリリアーナ女王たちの推定進路と、嵐の軌道を重ね合わせた。


「我々の目標は、リリアーナ女王たちの保護ではない。千鶴が仕掛けた混沌の種を、女王たちと接触する前に隔離し、排除することだ!全艦、戦闘準備!目標、東部沿岸!」


ヴォルク少将の軍隊は、リリアーナ女王たちが気づいていない、背後からの致命的な脅威を追っていた。


砂塵の交差点

リリアーナ女王とカイが、砂塵の荒野の中心に差し掛かったとき、彼女たちの視界の遥か東の空に、巨大で不自然な雷雲が渦巻いているのが見えた。


「あれは…」


「リリアーナ様。あれは自然現象ではありません。あれこそが、千鶴が作り出した混沌の壁です。彼女は、あの嵐を利用して、私たちを予測不能な運命に引きずり込もうとしています」


カイは、警戒心を強めた。この嵐を突破しなければ、アザトースの要塞にはたどり着けない。


二人の女王の運命を賭けた旅は、アザトースの秩序と、千鶴の混沌、そしてそれを阻止しようとする第三勢力の介入という、複雑な交差点に差し掛かろうとしていた。

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