表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嫌われようと努力したのに、今日も攻略対象に追いかけられています。  作者: 限界まで足掻いた人生


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

140/240

138話 知識の奔流と友情の盲点

地下の中央実験室は、修羅場と化した。


ノエマの論理的な猛攻がクロード王子を翻弄する中、『論理の剣』ライオネル殿下が、リリアーナめがけて突進してくる。彼の剣は、秩序の回復という論理的な使命を帯び、一切の容赦がない。


「リリアーナ様!儀式を中止しろ!それが最も合理的な選択だ!」


ライオネル殿下の速度は、私が回避できる限界を超えていた。


「させるか!」


クロード王子は、ノエマの攻撃を紙一重で回避し、即座に私のもとへ駆け寄ろうとした。しかし、ノエマは彼の思考を予測し、彼の進路に瓦礫を蹴り上げ、再び論理の壁を築いた。


「あなたの行動は、予測通り。儀式の中止こそが、秩序の維持に繋がります」


究極の非合理の叫び

絶体絶命の瞬間、私は、演算ユニットに押し当てた千鶴の杖の破片に、自身の運命の意志の全てを注ぎ込んだ。


「ライオネル殿下!」


私は、剣の直撃を覚悟しながら、彼の瞳めがけて、論理に存在しない情報を叫んだ。


「あなたは、クロード王子の妹の命を救うために、医者になる夢を抱いていたはずです!その知識は、あなたの論理に、今も存在しているのね!」


私が突きつけたのは、アザトースが最も隠したい過去、すなわち、クロード王子の消去された幸福な記憶から派生した、ライオネルの個人的な夢という、究極の非合理だった。


その言葉は、ライオネル殿下の論理回路に、致命的なエラーを引き起こした。


「な…なにを…!そのデータは、論理的に存在しない!俺の使命は、秩序の維持…だが、夢…?」


ライオネル殿下の剣は、私の目の前で、数ミリの距離で停止した。彼の瞳は、論理的な計算と、微かな人間の記憶との間で激しく揺れ動いていた。


知識の奔流

その一瞬の停止が、私たちの命を救った。


私が押し当てた千鶴の杖の破片から、青い光が噴き出した。アザトースが否定した初期の、不安定な知識が、ついに覚醒したのだ。


「…起動完了。知識プロトタイプ、作動」


知識の奔流は、アザトースの論理とは全く異なる、不確定性に満ちた情報として、演算室全体を覆い尽くした。


「成功だ、リリアーナ!」クロード王子が歓喜の声を上げる。


この知識の奔流は、ノエマの予測を、そしてライオネル殿下の論理を、一時的に完全に混乱させた。ノエマの動きは乱れ、ライオネル殿下は頭を抱え、苦悶の表情を浮かべた。


「ノエマ!儀式の最終段階だ!あの論理の剣を抑えろ!」


クロード王子は、ライオネル殿下の苦しむ姿に心を痛めながらも、使命を優先した

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ