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嫌われようと努力したのに、今日も攻略対象に追いかけられています。  作者: 限界まで足掻いた人生


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136話 知識の深淵と最後の抵抗

クロード王子と私は、ライオネル殿下の論理的な混乱が生んだ一瞬の隙を突き、旧研究所の地下階段を駆け降りた。背後からは、**『論理の剣』**がすぐに追跡を開始した気配と、レオンハルト殿下の武神のエネルギーが階段の入り口を塞ごうとする音が聞こえてくる。


「クロード王子!ライオネル殿下の動きが、一瞬止まりましたね!」


「ああ。セバスチャンの情報だ。アザトースの論理は、彼が修正した過去の幸福な記憶を、**最も優先して否定すべき『ノイズ』**として認識する。しかし、そのノイズを直接突きつけられると、処理が追いつかない」


クロード王子は、息を切らしながらも、希望を見出していた。彼の頭脳は、アザトースの論理を逆手に取る、次の戦略を組み立てていた。


過去の亡霊たち

地下施設に降り立つと、そこは蒸気と冷却液の臭いが充満する、広大な中央実験室だった。この場所こそ、セバスチャンが「零号」として生まれた知識の監獄であり、アザトースの初期の失敗の記録が眠る場所だ。


私たちは、躊躇なく部屋の奥、**『知識のプロトタイプ』**が収められた演算ユニットへと向かった。


しかし、部屋には既に、静かに立ち尽くす一人の人物がいた。


ノエマだ。


彼女は、私たちを追うよりも、この研究所の知識の根幹、自身の出生の地で待つことを選んでいた。ノエマの顔には、もはや憎しみだけではなく、**「運命の否定者」**としての冷たい使命感が宿っている。


「愚かね、零号セバスチャンの主人。あなた方がここに逃げ込むことは、最も合理的な予測でした」


ノエマは、セバスチャンの戦闘知識とアザトースの論理を融合させた、完璧な予測を持っていた。


「私の使命は、あなた方が創り出そうとする**『人間の自由な運命』という非効率なバグ**を、ここで完全に消去することです」


最後の防衛線

ノエマは、床に散乱している瓦礫や古い装置を、瞬時に戦闘用の障害物として再配置した。彼女の動作は、全てが論理的で、無駄がない。


「リリアーナ。ノエマの予測を、運命の力で打ち破るしかない」


クロード王子は、私を背後に庇い、即席の武器である剣と杖の破片を構えた。


「俺は、ノエマの論理を、感情というノイズで撹乱する。その隙に、お前はプロトタイプの知識を起動させろ!」


ノエマの完璧な予測を打ち破るには、論理的に存在しない、純粋な愛と運命の力が必要だった。そして、その力は、この地下監獄に眠るアザトースの失敗の知識と結びつくことで、初めてカミに対抗する最終兵器となる。

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