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嫌われようと努力したのに、今日も攻略対象に追いかけられています。  作者: 限界まで足掻いた人生


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134話 帝都への逆襲:始まりの矛盾

クロード王子と私は、時の境界の抜け穴を使い、再び大皇国オウコクトウの帝都・アカツキへと転移した。私たちが降り立ったのは、以前セバスチャンが救命措置を施した、人里離れた郊外の隠れ家だった。


しかし、帝都の空気は、以前とは比べ物にならないほど冷たく、管理されていた。アザトースの論理が、論理のライオネルと不滅のレオンハルトを通じて、この巨大な国家を完全に支配下に置いた証拠だ。


「帝都全体が、一つの巨大な演算装置と化している…」


クロード王子は、武神の力と知神の知識の残滓を使い、帝都の支配構造を分析した。街全体を覆う青い紋様は、自由な意志や感情を排除し、究極の秩序の名のもとに、人々の生活を管理している。


「アザトースの目的は、私たちを追うことではない。彼の秩序が完成したことを証明し、人類に**『人間の運命はカミの論理に従うことこそが最善である』**と受け入れさせることだ」


最終標的:零号の誕生地

私たちの最終標的は変わらない。帝都の地下深くにある、旧陸軍中央研究所の極秘部門。セバスチャンが生まれた場所であり、アザトースの**初期の、不確定な知識プロトタイプ**が眠る場所だ。


「セバスチャンが最後に託してくれた情報。アザトースの論理の最優先事項は、『完全性』。そして、彼のシステムに最も汚点を残すのが、**彼自身が関与した『失敗』**だ」


クロード王子は、砕けた千鶴の杖の破片と、自身の剣を融合させた即席の武器を構えた。


「俺たちが解放するのは、セバスチャンが知っていた、アザトースの論理が最も隠したい『始まりの矛盾』。人造人間への改造という、非人道性の上に、秩序を築こうとした、彼の傲慢な過去だ」


私たちは、帝都の厳重な警戒網を避け、かつてセバスチャンと東條が通った地下輸送口へと潜入した。


忠誠と論理の衝突

地下の階段を降りると、そこには、予想通り二人の守護者が待ち構えていた。


『論理の剣』ライオネル殿下と、『不滅の盾』レオンハルト殿下だ。彼らは、アザトースの論理が最も重要視する場所を、完璧な秩序の元に守っていた。


「クロード。リリアーナ。君たちの行動は、秩序の法則に反する。これ以上の抵抗は、無意味だ」


ライオネル殿下は、冷徹な声で剣を構えた。彼の瞳には、友情の残滓は微塵もない。


「レオンハルト。リリアーナ様を道連れにしても、秩序を維持する。それが、最も合理的な結論だ」


レオンハルト殿下は、愛するリリアーナの姿ユナを見ても、その瞳を揺るがさなかった。彼の愛は、アザトースの論理によって、**「秩序の維持」**という絶対的な役割に組み込まれてしまったのだ。


クロード王子は、悲しみを押し殺し、剣を構えた。


「ライオネル、レオンハルト。俺たちは、お前たちの命を奪うつもりはない。だが、お前たちが守る偽りの秩序は、ここで終わる」


最終決戦は、かつての友と、カミの道具と化した忠臣との、悲しい衝突から幕を開けた。

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