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嫌われようと努力したのに、今日も攻略対象に追いかけられています。  作者: 限界まで足掻いた人生


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116話 帝都の静寂と、地下への扉

帝都・アカツキの街路は、異様な緊張に包まれていた。東部からの激しい銃声と爆発音は、軍の戦力の大半がそちらへ向かっていることを示している。それは、ミサキとノエマがアザトースの支配構造に仕掛けた、最大の陽動だった。


クロード王子、リリアーナ、セバスチャンの三人は、その混乱を利用し、帝都の古い地区にある、旧陸軍中央研究所の極秘輸送口へとたどり着いた。


「ノエマたちが作り出した混沌が、私たちに時間を与えてくれている」


クロード王子は、冷静に言った。彼は、憎しみを越えたことで、感情的な揺らぎを排し、ミサキとノエマの行動さえも戦略に組み込んでいる。


セバスチャンが、東條から教えられた古いアクセスコードを、錆びついた金属扉のパネルに入力した。


「この扉のセキュリティは、アザトースの現在の論理からは外れています。彼は、この**『失敗の記録』**を、完全に無視している」


扉が軋む音を立てて開く。そこには、湿った地下への階段が続いていた。


カミの視線と予期せぬ対価

その頃、カミの領域(時の境界)では、知神アザトースが激しい怒りと共に、自身の論理の修復を続けていた。彼の青い紋様は、ミサキとノエマのいる東部戦線、そしてクロード王子たちが消えた旧研究所の入り口を同時に解析していた。


「愚かな混沌の器どもめ!私の秩序を乱すな!そして、クロード…君の行動は、全てが非効率だ!」


アザトースは、クロード王子が**「千鶴の混沌」**を利用しようとしていることに気づいていた。しかし、セバスチャンがアザトースの知性をフリーズさせたことで、彼には有効な対抗策を打つ時間がなかった。


一方、鶴神千鶴は、歓喜に満ちていた。


「フフフ…知神の合理性が、こんなにも簡単に裏切られるなんてな。これで、わてらの物語は、究極の不確定性へと突入や!」


千鶴は、クロード王子たちが旧研究所に入ったことを確認すると、ノエマに次の指令を送った。


「ノエマよ。クロードの最終計画の鍵は、お前の出生の地にある。彼らに辿り着かせろ。そして、最高の混沌を、そこで仕掛けるんや」


地下への降下

旧研究所の地下階段を降りるクロード王子とリリアーナ。蒸気と冷却液の匂いが鼻をつく。セバスチャンは、後方を警戒し、自身の体に宿る零号の力を静かに覚醒させた。


「リリアーナ。この地下は、俺たちの最終決戦の舞台であり、セバスチャンの過去の悲劇の場所だ」


クロード王子は、私の手を強く握った。


「封印の儀式では、君の運命の意志と、セバスチャンの非合理な知識、そして俺の論理と愛、全てを一つにする。この儀式の成功には、完全な相互理解が必要だ」


私は、彼の覚悟を受け入れた。


「ええ、クロード王子。私たちが築く運命の壁は、カミの支配を終わらせる、人類の勝利の証となるわ」


彼らは、複雑な配線と古い機械が並ぶ、知識の監獄へと、深く潜り込んでいった。

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