表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嫌われようと努力したのに、今日も攻略対象に追いかけられています。  作者: 限界まで足掻いた人生


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/240

110話 愛と使命の衝突

氷結山脈の最深部に響き渡ったレオンハルト殿下の悲痛な叫びは、クロード王子たちの合理的な計画を完全に停止させた。


「レオンハルト…その肉体は、運命の壁を完成させるための、最大の障害になりうる!」クロード王子は千鶴の杖を下げ、友に向けた剣を下ろすように言った。


「障害だと?クロード、お前は冷徹すぎる!この肉体は、リリアーナ様が時の導き手として生きた証だ!それを、お前の計画のために道具として破壊することは、私にはできん!」


レオンハルト殿下は、自身を傷つけながらも、武神のエネルギーを纏い、クロード王子たちと対峙した。彼の膝の固定が軋む音が、凍てついた空気に響く。


「セバスチャン!説得しろ。レオンハルト殿下の行動は、究極の非合理だ!」


「クロード王子。承知いたしました」セバスチャンは一歩踏み出した。「レオンハルト殿下。あなたの恋慕の情は理解できます。しかし、この肉体に宿るのは、元の世界のミサキという魂であり、彼女は現在、嫉妬と劣等感によって肉体の潜在能力を暴走させています。彼女の存在は、知神アザトースと鶴神千鶴の双方にとって、世界の秩序を破壊するための完璧な鍵となります。論理的に、あなたは、最も危険なものを守っているのです」


レオンハルト殿下は、セバスチャンの論理を、まるで氷の壁のように拒絶した。


「論理だと?お前こそ、愛という最も非合理で、最も強力な力を理解しないのか!私は、リリアーナ様の魂が抜けた後も、彼女が愛したこの世界を守るために戦っている!そして、この愛された器を、誰も道具にさせはしない!」


彼は、倒れているミサキ(本物のリリアーナの肉体)を背負うように抱え上げ、山脈の奥深くへと逃走を図った。


追跡の開始

「待て、レオンハルト!」


クロード王子が追いかけようとするが、セバスチャンが制した。


「クロード王子。追跡は得策ではありません。レオンハルト殿下は、武神の血を持つ王族の力を、愛する人を守るために制御を失っています。戦闘になれば、あなた自身の体力を消耗する」


「では、どうする!ミサキが持つ時の残滓は、このままでは千鶴に利用される!」


「彼女を追う必要はありません。レオンハルト殿下が向かう先は、アザトースの論理が最も及ばない場所です。つまり、古代の祭壇へと誘導されているのです」


セバスチャンは、冷たい瞳で山脈の頂を見上げた。


「レオンハルト殿下は、愛という非合理な感情によって、結果的に運命の壁を完成させるための最後の鍵を引き寄せました。私たちは、予定通り、祭壇へと向かい、彼らが来るのを待ちます」


混沌の笑い声

その間、時の境界の奥深くでは、鶴神千鶴が扇子を叩き、歓喜していた。


「フフフ…見てみい、知神!これが人間や!愛という究極の矛盾は、お前らの論理も、クロードの使命感も、全てぶっ壊す!ミサキの嫉妬**、レオンハルトの恋慕、そしてクロードの友情。全てが絡み合い、わての物語は、予測不能の極致や!」**


知神アザトースの紋様は、その状況を解析しきれず、激しくノイズを上げていた。レオンハルト殿下の非合理な愛の行動は、アザトースにとって計算不能なバグだった。


クロード王子一行は、ミサキを抱えたレオンハルト殿下を追わず、古代の祭壇へと急いだ。彼らは、愛という制御不能な変数が加わった最終決戦の舞台で、運命の壁を完成させるという、極限の使命に挑まなければならなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ