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嫌われようと努力したのに、今日も攻略対象に追いかけられています。  作者: 限界まで足掻いた人生


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102話 不完全な勝利と帝都からの脱出

時の特異点から現実世界へと帰還したクロード王子、リリアーナ、セバスチャンの三人を待っていたのは、安堵ではなかった。彼らは、旧陸軍中央研究所の極秘輸送口から出た瞬間、既に周囲を大皇国正規軍の部隊に完全に包囲されていた。


「動くな!反逆者クロード!そして、裏切り者の零号!貴様らの企みは全て露見している!」


将校の怒声が響き渡る。アザトースの知性はフリーズしたものの、その防御機構が発した警報により、軍は迅速に行動を開始していたのだ。


「セバスチャン!やはり不完全な封印は、我々を追い詰める論理的な結論か!」クロード王子は悔しさに歯噛みした。


「クロード王子。予測の範囲内です」セバスチャンは冷静に答えた。彼の左手には、依然として千鶴の杖のレプリカが握られている。


軍は、セバスチャンの能力を恐れ、特殊な対技術兵器で武装していた。彼らが一斉に発砲態勢に入った、その時だった。


反乱分子とレオンハルトの援護

周囲の裏路地から、突如として爆煙が上がった。


「今だ!クロード殿下を守れ!」


爆煙の中から飛び出してきたのは、大皇国の反乱分子たちだった。彼らは、クロード王子を支持し、アザトースによる軍の支配を拒む者たちだ。彼らは、東條からの密かな連絡を受け、この脱出路を確保するために待機していたのだ。


反乱分子たちは、熟練したゲリラ戦術で軍を攪乱する。その混乱に乗じ、セバスチャンは素早くクロード王子とリリアーナを連れて、別の路地へと逃げ込んだ。


しかし、追撃は激しく、路地裏を抜けた先には、さらに大規模な軍の部隊が待ち構えていた。絶体絶命の窮地に立たされた、その時――


友への誓いを背に

建物の屋上から、一閃の閃光が放たれた。それは、皇族にのみ許された純粋な武神のエネルギーによる剣撃だった。


「クロード殿下!行け!」


レオンハルト殿下だった。彼は、セバスチャンによる応急処置で命を繋ぎ止めたものの、全身に激痛が走る状態だ。横には、本物のリリアーナが、まだ意識は朦朧としながらも、彼を支えていた。


レオンハルト殿下は、亡きライオネル殿下との友情の誓いを胸に、武神の力を限界まで引き出し、追撃部隊を一時的に足止めした。彼の献身的な行動は、セバスチャンの非効率な救命が、最も合理的な結果を生んだ瞬間だった。


「レオンハルト…!」クロード王子は、友の覚悟に、感極まった声を上げた。


「感謝します、レオンハルト殿下」


セバスチャンは、一瞬の感動を胸に秘め、すぐさま行動を再開した。


「クロード王子!この隙に、帝都を離脱します!アザトースは不完全な封印から新たな論理を学習しています。次の行動は、帝都外の、予測不能な場所へ向かうことです!」


クロード王子は頷いた。半分の封印しかできなかったことで、事態は終わるどころか、次のステージへと進んだのだ。


彼らは、レオンハルト殿下の支援を背に受け、帝都の闇へと姿を消した。カミとの戦いは、まだ終わっていなかった。

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