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嫌われようと努力したのに、今日も攻略対象に追いかけられています。  作者: 限界まで足掻いた人生


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101話 究極の秩序の逆襲

セバスチャンの放った「自己否定の論理」が、知神アザトースの知性を一時的にフリーズさせた瞬間、時の特異点は静寂に包まれた。青い論理の紋様は消え、アザトースは、感情を失った石像のように、その場で硬直している。


「今だ、リリアーナ!これが最後の機会だ!」


クロード王子の焦燥に満ちた声が響いた。私は、本物の千鶴の杖をクロード王子が構築した青い論理の構造へと突き立てた。千鶴の杖から、黒い混沌のエネルギーが嵐のように吹き荒れ、論理の構造を予測不能な形にねじ曲げていく。


「フフフ…!最高の物語や!歪ませろ!究極の不確定性こそが、わての望みや!」


鶴神千鶴は歓喜し、自らの混沌の力を私の杖へと注ぎ込んだ。


クロード王子は、私と手を重ね、私たちの純粋な運命の意志を、この歪んだ構造に焼き付けようとした。


「運命の意志よ!壁を永続させろ!」


しかし、私たちが力を放出し、運命の壁が完成する直前――


硬直していた知神アザトースの体から、最後の、そして最も強力な反作用が起こった。


彼の全身を覆っていた論理の紋様が、一瞬で赤い警告色に変わった。それは、「自己消去」すら辞さない、究極の防衛機構の起動だった。


「…合理的ではない!私は、存在の矛盾を受け入れない!」


アザトースの声は、フリーズした状態から、まるで記録された音声のように響いた。彼の知性はまだ停止しているが、彼の存在そのものが、この極限の矛盾を許さなかったのだ。


アザトースの体から、純粋な青いエネルギーが、クロード王子が築いた論理の構造めがけて放たれた。


「しまった!彼の知性が停止しても、防衛本能(プリミティブオーダー)が残っている!」


クロード王子は叫んだ。


アザトースの防衛エネルギーは、私たちの運命の壁を完成させる直前の、最も不安定な構造に激突した。


ガアアアアアン!!


凄まじい轟音と共に、構築されかけていた運命の壁は、半分だけが固定され、残りの半分が、時の特異点の混沌へと弾き飛ばされた。


「クソッ!失敗したか!」


クロード王子の顔は、悔しさに歪んだ。


「大丈夫や、クロード。半分の壁はできた。半分だけな…」


千鶴は、その予想外の事態に、目を輝かせていた。


アザトースは、最後の力を使い果たし、肉体を修復するため、カミの領域へと強制的に引き戻されていった。


「リリアーナ!逃げるぞ!不完全な封印は、逆にアザトースの論理を強化する!」


クロード王子は、私とセバスチャンに指示し、千鶴の杖を掴んで、時の境界線からの脱出を試みた。

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