Wildfire-2
どシリアスモード、続行中
「此処は――」
「浮島の西の端……申し訳ございません、旦那様。弾かれるのは回避いたしましたが、館の防衛ラインに転移を邪魔されました」
「防衛ライン……そうか、アレを乗っ取られているか、少し厄介だな。……ちっ、相変わらずこういった要らない鼻だけは利きやがる野郎だな、あのクズは」
「……、どうやら私は本格的に侵入者と認識されてしまったようです。完全に魔力を封じられました」
「そうか。それであのクズがどこにいるか、分かるか?」
「油断しておりました。申し開きも御座いません。この責は――」
「―――そんな事はどうでもいい。それよりもあいつの居場所だ。何処にいる?」
「……はっ、申し訳ございません、旦那様。少々お待ちを」
「――」
「……、――、っ!!」
「待て」
「っ、は――、ぃ」
「見つけたな? それであのクズはどこだった?」
「ステイルサイトは、旦那様のお部屋に土足で居座り――」
「そうか、俺の部屋か。野郎、ただ小細工用の鼻が利くってだけでもないようだな」
「図々しいにも程がある。やはりあのような者など、ただ見逃しておくべきではなかったのですっ!!」
「そう……そうだな、もう容赦はなしだ。あいつらを傷つけた報いは受けて貰う」
「では即刻、殲滅して参ります――」
「待て」
「――今更何を躊躇う必要が御座いましょうか、旦那様? それとも、まさかそこまで平穏に毒されましたか?」
「平穏に毒される? 平穏に毒される事のどこが悪い?」
「旦那様、旦那様ともあろうお方が――」
「お前は俺の何だ。言ってみろ」
「……、旦那様は、私の旦那様であり、我らが生涯さえを超え忠誠を誓う唯一無二の我が主。私は旦那様の忠実な剣にして盾。その御身を害するいかなるものをも貫く矛であり、同時に如何なるものをも徹さぬ楯に御座います」
「仮にもそう自負するつもりなら、俺の話を正しく聞き取れ」
「ですが旦那様――!!」
「――黙れ、声を荒げるな、取り乱すな。今更、この程度で感情を乱すな。俺が教えた事を忘れたか?」
「っ、……――はい、旦那様」
「そうだ、それでいい。お前は、今の俺がどう見える?」
「大変、お怒りになられております」
「ああ、そうだな。どんな飴で釣られたか知らねぇが、少なくともこの館に土足で踏み込んだ奴らを一人残らず、無事に帰すつもりがない位にはブチ切れてる」
「……先程は醜態をお見せ致し、申し訳ございませんでした、旦那様」
「“そんな事”は今はいい、とさっき言ったはずだぞ? それとも、お前も態々俺の怒りを買いたいか? 正直八つ当たりの一つもしてもおかしくはないぞ」
「旦那様のお気が僅かでも楽になるのでしたら、喜んで」
「……、そうだ、お前らはそれでいい。だから――俺が遠慮なく暴れる事が出来る」
「――はい、旦那様」
「転移が出来ないなら直接出向くまでだ。徒歩で行けない距離でもない。お前は俺の後をついて来れば、それでいい」
「了解いたしました。旦那様」
「見つけたぁ、獲も――」
「あン?」
「有象無象の塵芥、旦那様がお気になさる事では御座いません」
「そうか、なら群れて集る有象無象どもの処理はお前に任せる。――いいな?」
「お任せ下さいませ、旦那様」
「じゃあ、行くぞ」
「はい、旦那様。――さあ、皆様方。真なる主、旦那様のご帰還ですよ。道を開けなさい?」
レム君、ブチ切れ中。メイドさんもプッツン中。
キスケとコトハの一問一答
「患者と接するときは!」
「誠心誠意尽くすべしっ、です、師匠!」




