フォローが大変上手いで賞を差し上げたいで賞
「えっと…女の子2人じゃ…危ないですよ?」
「2人ですが、クロモリ達も居るし大丈夫と思ったのですが…」
「その2人…だからこそ、今は駄目…じゃないですか?」
はい。すいませんそれで誘拐されてましたね!
「わたしが甘かったですね…すいません」
お詫びをすれば眼鏡の下で苦笑いをして「そうですね」と肯定された。
「ところで先程の霧はアベイルさんが?」
「え…あっ、はい。ボク水で…霧も水ですから…」
「そう言えば調べた時に凄く濃い青でしたね」
「お恥ずかしい限りです…」
何を恥ずかしがっているのか分からず、首を捻る。
「ところでボクが来なかったら…さっきどうしてたのですか?」
足を止めて真面目な顔で問われたので、わたしも真面目に答えようとハッキリ告げる。
「えぇ、あのまま少し人目が無いところに行った瞬間、クロモリ出してボッコボコですわ」
「ボ…ボッコボコですか?」
「えぇ、ボッコボコです。嫌がる女の子を無理矢理連れてくなんて許される事じゃありませんわ」
ニコリと微笑めば、アベイルさんもミラさんもなんとなく顔色が悪い。
男性2人に立ち向かうなんて怖かったものね。
「でもおかげで助かりましたわ。ボッコボコにしても後からわたくしだとバレたら厄介ですものね。シルクに怒られちゃう」
「えっと書記の…アベイルさん…だったかしら?…ユリエルったらシルク様に黙ってきてるのよ」
「え!?…それはもう怒られるの確定なのでは…」
ビクリと肩が揺れる。
「え〜っと、やはり…そう思います?」
ちょっと引き攣る笑顔で聞けば、2人とも頷いてる。
「あとロイさんにも…この前の件で注意するよう言われてましたし…」
怒られる相手増えた!!
「だってわたくし、ペンニーネ商会に用事がありますのよ!こちらに来る名目がありますもの」
「あの人達に黙って来てる事が問題だって言ってるのよ」
「お、お父様には言いましたわ」
「それであの弟が許してくれるかしら?あっ!!まさかと思うけど、あの会計や店にも連絡してないとか無いわよね!?」
「……空が青いですわね」
ミラさんは大きく大きく溜め息を吐くと、
「ちょっと書記さん?」
「…はい」
「あたし達、そこのお店で大人〜しくお茶でもして待ってるから、今すぐ店まで走って、あの会計居るなら連れてきてちょうだい!!」
「ハイっっ!!!」
「え?突然行って呼び出すなんて、ロットさんのご迷惑にならないかしら!?」
そう走るアベイルさんの背中に言えば、ミラさんはわたしの両頬を引っ張りながら
「充分迷惑被ってるわよ!!あんたまずは立場と常識を身につけなさい!!」
「ふぁいっ」
*****
「ホンマに姫…じゃなくって、エルちゃんやないか!」
「お忙しいところご迷惑お掛け致しましたわ…」
走ってきたアベイルさんとロットさんにミラさんがお水の入ったコップを渡す。気配り上手!!
「うひゃひゃひゃ!エルちゃん、その顔はもうミラはんにひとしきり怒られた後やな」
「良識なくて申し訳ございません」
「まぁエルちゃんの事やし、友達と遊びいくついでに、ウチの店にも顔出して商品の様子でも伺おかってとこか?」
「その通りですわ。ロットさんも居たら嬉しいな〜的な…でも立場的にちゃーんとアポイントとってやらないと駄目だと懇々と叱られましたわ…」
ロットさんは堪らず吹き出すと、ミラさんに
「オレの立場も考えてくれたんやな。ありがとさん。まぁエルちゃん、前回は買い物ついでにうちの店に連れてってもうたから、そんな畏まると思わんかったんよ。許したってな」
しょんぼりするわたしをフォローしてくれる。ロットさん優しすぎる!!
「しっかし、シルっくんとロイはんに言わんかったのはマズイ気ぃするわ。」
やっぱ駄目なのね!!
「ま、えぇか。そっちはオレからもフォローしとくし。でもな姫さん。真面目な話、姫さんは今うちと契約しとる身や。しかも売り上げもしっかり作っとる相手でお家がお家や。いくらオレが友達でも、遊びに来ちゃった〜ではマズイんよ?オレかてお店じゃ適当な服で『おっ!エルちゃん来たんか〜』とは出来へんからな。また遊ぶなら前から約束して、一緒に買い物でもお散歩でもしようや」
ポンとわたしの頭に手を乗せてニカっとしたその笑顔を見れば、乗せられたその手をガッツリ両手で握る。
「はい!わかりましたわ!!ならお買い物しましょう!お散歩でもハイキングでも山登りでも是非宜しくお願いしますわ!さぁいつにしましょうか?!ね!ミラさん!!アベイルさん!!?」
「ちょ…巻き込まないでよ!?」
「えっと…山は今の時期寒いし…魔獣も出ますよ?」
「それは楽しそうだな?ユーリ?」
その声が混じった瞬間、わたくし達の空気が止まったのを肌で感じた。





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