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【書籍発売中】悪役令嬢なんてもうちょい若い子に任せたい  作者: そらいろさとり
高等部 一年生編

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魔力の使い方、基礎編 基礎ぶっ飛ばして来たから基礎大事。



「何を仰ってるのかしら?見ての通りここに召喚獣がおりますでしょう?」


何事もない様な顔をして微笑む。

キッツイ王妃教育、伊達に受けていないのよ!!


「ミラさんはこの学園でも数年振りの召喚士で、彼女は他の召喚士を見たことがありません。いえ、彼女だけではなく、他の生徒や殆どの方がそうですから気づかれていないのでしょうが…ユリエル様がクロモリ様を呼び出す時の様子が、他の召喚士とは違います」


そうキッパリとわたしの目を見て告げられる。


「わたくしは召喚士としての基礎を知る前にクロモリを作り上げてしまったので、他の方との違いも仕方ないのではありませんこと?」

「ユリエル様は他で魔法の勉強を?」

「…いえ…しておりませんわ」


下手な嘘はバレると思い、素直に答える。


「普通の属性魔法ならそれでも構いません。身体から魔力を放出しそれをその場で使えばいいのです。でも召喚士だけは違います。身体から魔力を放出してそれを形にし、指示を出し、従わせる」

「そうですね。何か違いが?」

「例えるなら料理です。細かいことは省きますが、例えば他の魔法なら、身体の中の魔力…つまりその素材を出す様なものです。例えるなら小麦粉をそのまま撒く様な事。しかし召喚士だけは料理です。食材を組み合わせ、調理し、お皿に乗せる。だから一定の動き…ミラさんなら身体の中で魔力を組み合わせ、腕を通して調理し、手というお皿の上に出す」


「…」


「その点から見ていると、ユリエル様のクロモリ様は目配せ一つで出る場所を決め、しかも先日の様に召喚獣が勝手に人型になる」


そういえばレストランでそんな事があったわ。

カルージュ先生静かだし気にしてないのかと思ってたのにちゃんと見られてたのね。


「わたくしのクロモリはわたくしの魔力で出来ていますわ」

「そうですね。クロモリ様の魔力は間違いなくユリエル様の魔力です」

「ならわたくしの召喚獣ですわ」


そう微笑めば、首を振られ




「そうです。ユリエル様の魔力ですが…召喚獣とは違います。


クロモリ様は……闇と光の魔力の結晶です」






真っ直ぐに見つめる瞳を見て、これは誤魔化せないと、諦めて一つ溜め息をついて問う。


「何処でそれを?」

「マカロフ先生ではありませんよ?あの先生は黙ってます。生徒の情報を教師で共有する物の記入欄にも書いてません。それに箝口令でも引かれているのか、クラスの生徒も喋っていませんね」


マカロフ先生…?あぁ、魔法を調べたお爺ちゃん先生ね。


「では、何処でわたくしを調べましたの?」


せめてもの虚勢を張ろうと、顔を上げ胸を張る。


「そうですね。一応調べてみようと思いましたが、情報はさっき言った通りほぼ出て来ませんでした。ただ…ユリエル様と最初に出会った時に感じた魔力は、明らかに闇魔法」

「魔力を感じた?」

「ええそうです」


そう言って妖艶に微笑むと、カルージュ先生の周りに闇色の魔力が溢れて見える。


「世の中から消えかけているこの闇魔法が、あの日、目の前で、感じたことの無い膨大な力に当てられた、そのワタクシめの気持ちがわかりますか?」

「わかりませんわ」

「そうでしょうとも!ユリエル様程の闇の魔力を惜しげもなくワタクシめに向けて頂いた喜びはワタクシめだけの物…!!」


自分の身体を抱きしめながら、ハァハァ言い出した!!嫌な予感しかしないのだけれど!!


「それにあの天候をも掌り、それにも関わらず晴れた途端に鳥が鳴き出す神聖な魔力…!!闇魔法は死に一番近い魔法であるのに、小動物が離れていなかったのがその証拠!!そしてそれを無意識に組み合わせて、クロモリ様を作り上げる神の偉業!!!」


床に悶え始めたのだけど!!!

イケメンなのに気持ち悪い!!!


「勿論口外は致しません!!」


地面をにょろりと移動して、わたしの目の前に跪いた!!

ヒィィ!速さも気持ち悪い!!


「ですので、どうか、ユリエル様に仕える御許可を!!」


「なんだかとっっても嫌ですわ!!!」

慄きながら必死に断る。


「ユリエル様のいけずっっ!!」

だから悶えないで!!


「クロモリ!!外に捨てて来て!!」


明らかに『えぇ〜やだなぁ〜』って顔を向けられた!


「あぁっ!!そのクロモリ様のご意志こそ、貴女の偉大な神たる所業!!もうそれに気がついた時のワタクシめの胸の内たるや、あんなレストランに居られなくなり、林の中で己の身のうちに宿り昂るものを抑えるのが精一杯で…!!」


なんか聞きようによっては卑猥な言い回しになってきたし!!

そしてあの時レストランで途中から居ない気もしたけど、そんなことしてたのか!!!



「もういいから黙ってて下さいませっっっ!!」

そう叫べばピタッと止まる。



「はぁ…誰かに話す気はありますの?」

「いえ、ユリエル様の不利になる様な事は決して」


そう真剣な顔をして言う。


「目的は?」

「貴女様の下僕で」「お断りですわ」


食い気味で断る。

ハァハァされた!!ヒィィッ!!


「口外しないで下さいませ」

「仰せの通りに」


跪き胸に手を当てた最敬礼を贈られる。


どこまで信じたらいいのかしら?

…そんな事よりなんかもう頭痛くなってきたわ…。



「あの…他に目的は?」

「ございません!!」


言い切られた!!


「いや、ほら、例えばお前の身体が目的なんだぜヘッヘッヘ〜的な…」


「なっ、なんて事を…!!!その御身に触れるなんて以ての外でございます!もし叶うならばいつか、またその魔力に触れさせて頂きたく…!!勿論それはいつでも構いません!!そう…、いつかご褒美に魔力に触れさせて頂けるなら、この不肖ベレト・カルージュ。この身を捧げ、その魔力で粉になっても構いません」


「重いっっっ!!!!」


「兎に角、ワタクシめは何も口外いたしませんし、ただユリエル様にワタクシめの気持ちをお伝えさせて頂きたかっただけでございます。どうかその御姿をこの目に入れる御許可のみ下されば、身に余る光栄で御座います」


未だ跪いてそこまで言われたらもういいわ…なんかもう疲れたきったし…。


「わかりました。しかし普段はわたくしも普通の生徒と同じ様に扱って下さいませ…。そして周りに余計な詮索をされませんよう、ご協力願いますわ」


「御心のままに」


そうして恭しく頭を下げられたら、苦笑いしかもう出ないわ。

しかしふと気が付いて聞いてみる。


「それにしてもカルージュ先生は…」

「もし宜しければ……せめてファーストネームのベレトとお呼び下さい。」

「…ベレト先生は…闇属性なのですね」

「はい。我々の他にこの学園に闇属性の教師も生徒もおりません」


「なら丁度良かったわ!わたくし闇属性の力の使い方がさっぱり分からなくて困っていたのです。学園や他の方には内緒で力の使い方教えて下さいませんか?例えばミラさんがお休みの魔法授業の時とか、終わった後とかに少しだけでも構いませんので」


ニコリと笑ってお願いすれば、跪いていたのに倒れて「至極光栄の至りです!」と荒い息遣いで悶え始めた。




…よし。ほっといて帰ろう!!




クロモリを魔力に戻し部屋を後にすると、次の授業開始の鐘が鳴り響いた。










ブクマ、☆評価、感想、誤字報告いつもありがとうございます!!もう本当〜ッに、ありがとうございます!!喜びでストーリーのストックもそれなりに出来ました!!嬉しさのテンション壱の舞!!



大人気のベレト先生出ずっぱりの回でした!!(※推し報告はゼロです)



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今回も読んで頂き有難う御座いました!!!!!

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『悪役令嬢なんてもうちょい若い子に任せたい』

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