溢れる想い
「ゆりえるさま、元気だして?ゆりえるさまは知らないみたいだけど、中等部でもみんなゆりえるさまの事知ってるよ?ぼくはあまり中等部には居ないけど、たまに行くとゆりえるさまの話題が出てるくらい有名だよ?」
「あの…えっと、カフィトルくん…ユリエルさんはもう自覚がズレてたことも充分わかったと思うので…その…そこまで追い討ちかけないであげて下さい…」
ずーーーんと凹んでるわたしにみんなコメントに困ってる。
引き篭もりで、学園入ったところで身内と少しのお友達と慎ましやかにしてるつもりだったのに、いつの間に。
グッと気持ちを持ち直し、顔を上げて声をあげる。
「皆様ッ!一旦気を取り直してくださいな。えっとどこまで話したかしら?」
「気を取り直さなきゃいけないのはユリエルくんだけだけどね。とはいえたしかに話しを纏める方が先かな」
レイさん爽やかに抉ってきますわね。
「ユリエルサマ、ワタクシめに発言をお許し下さい。…気になったのですが、その状態でどの様にクロモリ様を召喚なさったのですか?人違いだからと開放されたようには思えなかったのですが…」
手を挙げ発言するカルージュ先生の質問に、頬に手を当て記憶を手繰る。
「えぇっとあの時は…売られてしまった娘さんがいらっしゃると聞いて…その…お恥ずかしい話…記憶がイマイチ曖昧なのです」
「ユーリ…無理に思い出さなくても…」
記憶を手繰ろうと顔を伏せると、そっと手を肩に掛けようとしたロイさんが思わず手を引っ込めた。
「そうだわ…あの人、わたくしは見目が良いから殺すのが惜しいと。そして前に女の子を売った話を平然と言い放ち…それを聞いたらプチンと何かキレまして。
そしたら外で雷が鳴りだして…わたくしを見て恐れた様な顔をして逃げ出そうとしたけれど、鍵は外から掛かっていたらしく…」
思い出したら段々また腹が立ってきたわ。
周りはドン引きしてる風だけど今はそこに構っていられないわ。
でもレイさんは変わらずニコニコしてるのと、カルージュ先生は恍惚としてるし、カフィーはわくわくしてる風。
そう言えばカフィー…あらやだ子供の前でこんな話しするべきじゃなかったわ!よく見たら魔力がまた身体から溢れてる感じだし。落ち着かないと!
ゆっくりと深呼吸をして、気持ちを落ち着かせて、話しを再開する。
「…それで気がついたらわたくしの身体から魔力が溢れ出していたので、強く念じたらクロモリが出てきてくれて助けてくれました。その後は、ロイさんとアベイルさん達の知るところですわ」
ニコリと笑って気分を変えようとしたけど、ロイさんとシルク、アベイルさんにロットさんはまだ青い顔やら頭を押さえたりしている。
「いやぁ、ユリエルくんは本当規格外だね。面白い話しを聞かせて貰ったよ」
レイさんはいつもと変わらない笑顔だわ。一安心。
「ゆりえるさまは凄いねぇ!さっきの魔力溢れさせるのどうやってやったの?ぼくにも出来るかな…?ぼく召喚士の力無いから無理かな?ちょっとゆりえるさまを研究させて??」
カフィーぐいぐいくるわ。
「…ハァハァ…」
カルージュ先生、せめてなんか言って。





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