努力が間違った方に転ぶこともあるよね。この場合の七転八倒はやばいよやばいよ
「日本人の謙虚な曖昧さに喝!!だわ!」
だいたい昔から「大丈夫」は曖昧すぎて、どちらとも取れるから詐欺で引っかかるとか言われてたじゃない。
電話とかのセールスも「大丈夫」じゃなくて、「いらないです!」って切るのがセオリー。「大丈夫」「結構です」は使っちゃダメだってニュースでも見てたのに……、昨今のオレオレ詐欺はまたパターンが違うから、注意喚起も変わってたから忘れてたわ……。
わたしはぶつぶつと呟きながら辿り着いた扉の前に立つ。
ゴクリと生唾を飲み込み「たのもう〜!!」そう勢いづいていきたいとこだけど、ここでは淑女的に可愛らしくノックをすると、返事が聞こえたところでアナが開けてくれた扉の中に入り「お話し中失礼致します」と、スカートを摘みお辞儀をし、ニッコリと微笑む。
「ロイ様、先程は失礼いたしました。ご訪問に驚いてしまい、ちゃんとご挨拶出来ずに申し訳ございませんでしたわ。御心配頂いた怪我ですけれども、もうホンッッット些細な傷でして、侍女に薬も塗って貰って、あっという間に治りますわ〜」
そう言って前髪を上げ、治療をした右眉あたりを見せて微笑む。
「いえいえ、可愛らしいその顔に、一度でも傷を作ってしまった僕が悪いのです。是非ともその身にこの先傷一つ作らぬ様守り抜きますので、どうか僕にそのチャンスを下さいませんか?」
「だいじょ…(じゃなくて)、そんなご心配頂かなくとも、怪我の一つや二つ、生きていれば逃れることは出来ませんわ。わたし、守って頂かなければ行けない弱い女性になんて成りたくないのです!自分の力で生きていきたいし、守っていきたいのです!」
たとえシングルマザーになっても、後悔なく生きたい!!
それが私ポリシーだったもの!!
心ではふんぬと鼻息熱く拳を突き上げているが、見た目は優雅に微笑み絶やさず……完璧にやり遂げた!この世界では、男性より一歩引いた、奥ゆかしい女性が良しとされている時代、この考えは異端と思われ、きっと婚約なんて破談に……、
『パチパチパチパチ…』
破談に……あれ?拍手?
「こんな幼いのになんて芯の通った娘さんでしょう。ロイは本当に素敵な娘さんを見つけてきたのですね?」
「ご挨拶遅れて申し訳ございません。ユリエルと申します」
見覚えのない男性が居たと、改めてスカートを摘み挨拶をする。
「うんうん。素晴らしい挨拶をありがとう。私の名前はリカルド・ガルディウス。ロイの叔父さんだよ。あっ、覚えて無いとは思うけど、ユーリに会ったのは2回目なんだよ?産まれて1ヶ月頃に挨拶させてもらったのさ。ほんの少し離れただけで、こんな可愛らしいお嬢さんに育ってて、なんか感動しちゃうなぁ〜」
そう柔和に笑うキラキライケメン。年の頃は30手前?少し伸ばした金髪に青い瞳、上等な礼服も違和感なくサラッと着こなすさり気なさ。そしてロイ様やお母様に見た目似た……あれ?まてよ…叔父上とかなんとか……
ロイ様は王子様、てことは父様は王様。そのロイ様の叔父って事は……、
元第二王位継承者!!?ガッツリロイヤルファミリーだぁぁぁぁ!!!!
ちなみに『元』って思う理由は名前のミドルネームを、このアマトワ国ではその家の家主、そして基本的には継ぐ息子につけるもの。
なのでロイ様がミドルネームがあると言うことは、きっとこの叔父様は王位が決まった後、継承権をそのまま引き継ぐことなく、王の息子であるロイ様に譲ったと窺える。
例えばミドルネームをつけた息子が他の家に婿入り等をした時は、二男や養子に引き継がれる。
ちなみに我が家は父にのみ『ヴォルフ・ファン・セルリア』と、ミドルネームがある。基本は男子が継ぐものなので、弟がいつか産まれるか、親戚あたりから養子を貰い継ぐのが通例な為、私にミドルネームはない。それがちょっぴり寂しい娘なのでありました。
「あらやだ、お従兄さま、流石にユーリもそんな小さな頃のこと覚えてるわけありませんわ〜。」
「お…おにいさま?」
深々と下げていた頭をギギギと音がしそうな硬さで母とリカルド様を見上げると、母は「あらやだ言ってなかったわ〜」と、いつもの調子で、
「リカルドお従兄さまは、わたくしの従兄になるのよ〜?だから〜……、えっとユーリから見たら、お爺様が兄弟でね、ロイ様とユーリちゃんも親戚になるのよぉ〜」
可愛らしい笑顔で説明をする母の姿を見ながら、道理でこの人達の見た目がなんだか似てる訳だわとか、ロイ様も親戚だけど、お母様もある意味ロイヤルファミリーになるんじゃないかとか、なんでわたしにその金髪遺伝子なかったかなぁ〜とか、てことはあの愛妻家のお爺様からのロイヤルな流れが来てるのか〜とか、兎に角なんだか情報が多すぎてどうしていいかわからず、とりあえず愛想笑いで「へーそうなんですねぇ〜」なんて当たり障りない返事をしていると、
「やはりロイにはこんなしっかりした子が居た方が絶対いいな!僕からも兄上に進言させてもらうよ!!いいよね?ヴォルフ!」
満面の笑みでリカルド様はわたしの父にそう告げると、父は額を抑えながら一つ大きな溜息を吐くと、
「では後日、正式な申し入れとして手続きさせて頂きます」
そう言って立ち上がり頭を下げた。
え!? 下げちゃったぁぁぁぁぁぁぁ!
あれぇ!? なんでこうなったぁぁぁぁ!!?
評価、ブクマ登録をして下さり、ありがとうございます!!
システムの見方をやっと気がつきました!
もの凄い励みになりました!!
読んでもらえて星もらえるとか…感謝しか御座いません!ありがとうございます!引き続き頑張ります!!





一部通販はこちらで是非(*´꒳`*)