隠し事はオープンに。
「それで?皆さんでわたくし抜きでなんのお話をなさろうとしていたのか、お聞かせ願えます?」
ニッコリと笑えば、皆さん目線を逸らす。
「そうですの。皆様わたくしにはお話なさりたく無いと。では今回の件、独自で動かせて頂きますわ」
「待て、待て待てユーリ…わかった…話す。話すからやめてくれ。独自で動かれる方が心配しか無い」
立ち上がろうとすれば、隣に座っているロイさんが眉間に片手を当てながら、空いた手でわたし腕を掴み止められた。
ちなみにわたしの逆隣にはカフィーが座り、向かいのソファにはレイさんロットさん。
アナはわたしの後ろに控え、シルクはロイさんの奥に立ち、アベイルさんは生徒会の2人の後ろ。
カルージュ先生は…何故かわたしの後ろのアナの隣に立っている。
…先生、1人掛けソファが空いてるわ?何故わたしの後ろ?そこはアナの…仕える人のポジションよ?…そう思って、なんとなく深く考えるのはやめて、改めて話を始める事にする。
「では、一から全てお話し下さいませ。この顔触れを見れば、きっとあの日…わたくしが誘拐された日に最初に報告受けた方々でございましょう?今日に向けてこのお忙しい中どこまで何を調べましたの?狙いの目的はわかってますか?他の被害者の確認は…それにこの顔揃えで調べる理由はなんですの?」
矢継ぎ早に質問をすれば、全員がなんとなく目線を逸らされた。
やはりまだわたしに話すことに抵抗があるらしい。
「ロイさん、この国では人身売買は禁止されておりますよね?」
「あぁ」
「大きな国ですので、裏の世界まで100%は難しいのはわかっておりますわ。しかし今回犯人がわたくしに言っていたのです。『召喚士を買い取るやつが居るってんだから、物好きもいるもんだよな?』と」
そう話せば、みんなが息を飲むのがわかった。
ただの令嬢誘拐事件ではないと分かって貰えたのだと思う。
「今日までわたくしが召喚が出来る事はほぼ知られておりませんでしたわ。勿論犯人もわかっておりませんでした。それに幸いわたくしはクロモリを召喚する事が出来て、しかも皆様のお陰で早い発見までして頂き、難を逃れることが出来たのですが…」
そこまで言ってまた一呼吸置く。
現状を知ってもらわないといけないと、それに心配だけされて守られているのは性に合わない。
わたしが言葉にする事でわたしにも守れる子がいるかもしれない。
「途中、召喚士でないと分かり、わたくしに犯人が言いましたの。『この前の娘みたいに娼館に売ってしまおう』と。わたくしこれを聞き流し、日常に戻る事が出来ません。どうかわたくしにも少しでも早い解決に向けて、現状をお教え頂けないでしょうか」
深々と頭を下げ、
「わたくしに出来る事など些細とは思います。それでもまだ先の長い子たちの未来が閉ざされるかもしれないと思えば、黙っていられません。わたくしがあの場で聞いたこと、見たこと、感じたこと!少しでも誰かのお役に立てるなら悪評でもなんでもどんとこいですわ!!」
最後は顔を上げ、思わず胸を叩けば
「お嬢様」
とアナの冷ややかな声が聞こえて、姿勢を正す。
「とにかく!わたくしの身を案じて黙っているなら皆様、逆効果ですわよ?」
ニッコリと微笑めば、賛同者が声を上げてくれる。
「ユリエル様の仰る通りでございますね!わたくしめは、ユリエル様のお考えに賛同し、身も心も捧げて解決に向けて一生下僕にならせて頂きます!!!」
カルージュ先生の申し出は「そこまでは結構ですわ」と一蹴する。ションボリしてるフリしてるけど、なんか少し見える表情は違う気がする。頬が赤いしプルプルしてる。何故だかツッコんだら負けな気がするのでスルー。
「そうだね。このまま黙っていて、ユリエルくんの行動力を考えたら大人しくしてくれる気がしない。私も諦めて情報公開といこうか」
諦めた様に賛同してくれたのはレイさんだった。
「とは言っても、私の持っている情報は微々たるものだけれどね。それで、ロイ様、シルクくん?一番黙っていたいだろうが、逆に一番黙っていたらどうなるかも、君達がわかっているんじゃないかい?」
ニコリと2人を見てちょっと意地悪そうに微笑むレイさんの絵になること!…じゃなくて、この援護射撃に乗らない手は無い。
「シルク、ロイさん?わたくしの味方が増えましたわ?」
「すまん。今回オレも姫さんにつくわ。レイも感じた姫さんの本気度に乗らせて貰うわ。ほっとくのが怖くてしゃーない」
ロットさんが両手を上げ降参のポーズを取れば、
「ボ…ボクも、もうあんな思いをするのは嫌なので…ユリエル様に…」
と、アベイルさんもオズオズと手を挙げてくれる。
「よくわからないけど、ぼくもゆりえるさまの味方だよ!?」
と可愛い味方まで付いた。
「わたくしを入れて5対2ですわ。さぁ?どうなさいますの?」
ニヤリと、こんな時ばかりは悪役令嬢の様な笑顔が堂に入る。
とりあえず「ワタクシめが数に入って無いのですが!?」の声もスルー。
「わかったわかった!降参だ!…シルクもいいな?」
「…はい」
大きな溜め息の後、諦めた顔をしてロイさんの敗北宣言。そしてシルクの同意。
持つべきものはお友達と数の暴力、そして我が身の安全を保証しないという謎の人質作戦よ!!
「では!皆さま?掴んでいることをお話し下さいませ」
わたしはニッコリと笑えば、それぞれ困ったような、楽しそうな、諦めたなような…そんな銘々の顔を見て、話し合いは始まった。
ブクマ、☆評価、感想、誤字報告などなどありがとうございます!!
めちゃくちゃ嬉しいです!!一日中ニヤニヤ浮き足だっちゃうレベルで嬉しい事を伝えたい!!ありがとうございます!
そして今更ですがトップに紹介文あるのに、1話の前書きにまたざっくりした紹介文(?)が、書いてたので、改めて纏めた紹介文に変えてトップに表示し、1話の前書きを消しました。
色々理解せず投稿していた過去を目の当たりにした…何度か読み返してるのに気がつきませんでした!





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