ウサちゃんの名前はキャロットちゃんですって!ウサギでオレンジでキャロットって可愛すぎて愛らしすぎて文字数
「おほほほっほっゴホッゴホ…ッ!!ユリエル様!わたくちと勝負してくだたいまて!!!」
「あらぁ〜…申し訳ありませんが無理ですわ。それにシルクとの約束でもありますし、怒られてしまいますもの」
放課後、生徒会室にバーーーーンと勢い良く入り、めちゃくちゃ噛みまくってる可愛いミラさんにキチンとお断りを入れる。
シルクは今日は用事があるとかで後から来るらしく、部屋にはわたしとレイさんとロットさんしか居ない。
「シルクって弟でちょう!?姉なんだからそんなの構わず受けるのですわわ!!」
「だってシルク怒ると怖いのよ?それ以前に約束を守る事は、相手が姉でも弟でも親でも関係なくてよ?」
「せやなぁ。もっともなご意見やで。そんでこちらはどちらさん?」
わたしの返答に二の句が告げられなくなったミラさんに、呑気に合いの手を入れてくれるロットさん。
魔法祭の仕事がひと段落したタイミングで良かったわ。
「それに勝負って…君はこの学校は授業以外の対戦は禁止されているのは知っているだろう?1年のミラ・オーギュストくん?」
手元の資料を纏めながら、レイさんが窘めれば、ロットさんは合点が言ったらしく「あの召喚の子かぁ」と呟いた。それを聞いて唯一の召喚属性なので有名なのだと今更納得する。
「あら?同級生でしたのね!宜しくお願いいたしますわ!わたくし1組ですのよ!」
「知ってるわよ!!」
「まぁ!知っていて頂きありがとうございます!ところであの可愛い召喚獣のウサちゃんはおりますの?可愛らしいですわね!愛らしいですわよね!ミラ様にピッタリと思いましたわ!またお会いさせて頂けないかしら?それとも召喚獣はおいそれと見せてはなりませんの?それでしたら我慢致しますが、可愛らしくて愛らしい…あ、そうですわ、御名前はなんておっしゃるの?可愛らしいウサギさんのお名前教えて頂きたいですわ!!」
「姫さん姫さん…落ち着こうや。グイグイいき過ぎて彼女引いとるよ」
ロットさんに肩をポンポンと叩かれて我に帰れば、ミラさんが数歩下がっている。
「あら…ごめんあそばせ?この前お会いした時に余りに可愛らしくて…。あっ、落ち着いてお話し致しませんこと?お座りになりません?」
「姫さんが言うなっちゅーやつやけどな…」
ソファに座り向かいの席をお勧めするが、よく見れば震えていると気がついて声を掛けようとしたらキッと睨まれ、
「生徒会長!!これは勝負ではなく、ユリエル様が召喚獣を出せと言ったからですから!召喚獣を出せと言われ出した事でのトラブルは、ユリエル様の責任として処理ちて下さいませね!!」
「え!?ちょい待ち!!」と、ロットさんが止めるより早く、ミラさんは手を振り上げ、
「キャロット!!出て来なさい!!」そう叫ぶと、魔力の動きなのかプリントが宙を舞い、彼女の挙げた手の上あたりの空間に影が浮かぶと、ソレは一瞬で形作られ可愛らしいウサちゃんが現れた!!
「きゃぁぁぁぁ!可愛らしいですわぁぁぁ!!動いていらっしゃる!」
目をハートにする勢いで手を伸ばせば、ロットさんやレイさんが必死な様子で止めにかかり、その様子が逆にミラさんは頭に来た様で「キャロット!行きなさい!」と私の方に手を振りかざして来た。
「姫さん!!!」
「ユリエルくん!!!」
声と同時にロットさんが座るわたしの前に回り込み抱きしめ、レイさんもわたし達を纏めて肩を抱き、魔法を発動しようとしたのか相手に向かって手を伸ばした。
一瞬何が起きたのかわからないけど…
いや…
……ん?
…えっと?
…特に……何も起きてないわ??
前を覗き見れば、ミラさんの頭に捕まってウサちゃんことキャロットちゃんがプルプル震えてる。
「え!!キャロットどうしたの!?行きなさい!!キャロット!?」
事態を把握したのかレイさんがまず離れ、ロットさんがその様子を見ながらゆっくりと離してくれる。
「えっとレイさんロットさんごめんなさい?わたくしまた何かしでかしたのかしら…?それにミラ様もキャロットちゃんも…」
そう言って改めて立ち上がれば、キャロットちゃんが毛を逆立てると同時に、廊下に向かって一目散に飛び出してしまった。
「え!?キャロット!!?えっと!?ユリエル様!次は覚えておいてちょうだい!」
そう捨て台詞を残してミラさんも廊下に消えた。
そして自分でもきっと何かしでかしてしまったのだと、振り向き2人に謝ろうとしたら真っ赤になったロットさんに先を越される。
「姫さん!!すまん!!いや悪いことしたつもりはあらへんのやけど、でも若い娘さんにあないな事するつもりやあらへやんかったんやで!?不測の事態で勝手に身体が動いただけで、ホンマすまん!!!」
「私も悪かったね。でもユリエルくん?人の召喚獣を見せてくれなんて、『お前の手の内を明かせ』って言ってるようなものだからね。彼女が相手にされてないと思って攻撃に転じてしまったのも仕方ない事なんだよ?」
頭を下げて必死に謝るロイさんと、冷静に状況を説明してくれるレイさんの話で、わたしがいかに失礼な事をしたのか知った。
「そうでしたの…ごめんなさい。わたくし何も知らずに…ではお二人に守って頂いたのですね。申し訳ありませんわ。ロットさんも頭を上げて下さいませ。わたくしの落ち度ですもの。守ってくれてありがとうございます」
わたしが悪かったのに、ロットさんに引け目を負わせたくなくて、少しでも気にして無いと伝える為に顔の前で合わせた手を掴んで、ゆっくり下ろしながら微笑む。
そうよね。この世界ではハグの文化なんてもってのほかだものね。
まぁわたしも前世で家族や友達、このユリエルの年頃なら、文化祭明けでウェーイ!って男子ともハグしたことも……あ…そうだあの中に同級生の元旦那も居たわ。そんな余計なことも思い出してると、
「しかし、何故ミラくんの召喚獣は逃げたのかな?召喚獣といえば…魔法の効き目も悪いし、格上の召喚獣くらいにしか怯えないと聞くのだけれど」
「あっ」
「「あ?」」
思い当たる事があると出した声が繰り返されて、うふふっと誤魔化し笑ってみるが、もうここまで迷惑かけて黙ってる訳にも行かず、開きっぱなしの扉を閉めて、改めて2人に向き合い「クロモリ」と呼べば、大型の黒豹がわたしの後ろに現れた。
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