親の心子知らずで無くて、親の心も子の心もここにあり
………しくったな!!
食事が終わり、部屋でふかふかベットに倒れ込みながら後悔する。
12歳じゃだめだった……。たしか、異世界からピチピチ女子高生か、なんかモテモテハーレム作る男爵令嬢のどっちかが現れるのは、たしか15歳とかその辺。
12で婚約しちゃったら当て馬決定。マジ当て馬なんて言葉は競馬だけで充分なのよ……、やったことないけど。
うつ伏せのまま、盛大なため息は布団に吸い込まれる。
マジでさ……もう6年ほど異世界生きて、今更小説だとかどうとかなんて言ってらんないさね。
もうただただリアルだよ。
過去に痛かった手荒れも、子供産んでから歪んだ骨盤の痛みに悩まされることなく、蝶よ花よと育てて頂いているのよ。
なのでこの世界での親へ感謝考えたら、王宮に嫁げるなら、こんなとんでもない親孝行無いよな〜って思うけど、でも親の目から見て親の為に嫁ぐとかないよな!!そうだ!無いわ!!わたしならヤダわ。
グルっと仰向けになり拳を突き上げる。
親の安心感の為の結婚もいいけどさ、結婚したら全て幸福に回ってくわけじゃ無いことを私は知っちゃってる。
もう前世の事だけど、あの人と結婚して子供にも恵まれたし、それはそれは幸せだったけど……ずっと続いたわけじゃない。
……良い人だった。
でも、あの人の1番はいつの間にか私達じゃ無くなってた。
あの絶望感を二度と味わいたくは無い。
たとえ12歳で婚約しても、15歳で2番…いや、たしか2番なんて可愛いものじゃない。
ヒロインがブッチギリになったら、その後はその他大勢か、それ以下に落ちて断罪される。
そんなの考えただけで泣けるわ。
しかも王家から娘が求められて婚約を承諾し、その後にどこぞの馬の骨だか聖女様だかが現れた途端に掌返されて、お前の娘は断罪だ!とか言われて、あの優しい両親は耐えられるのか!!?
むしろ王家に楯突いて、一家取り潰しとか目も当てられない!!
ノォォォォォォォ!!有り得る!有り得るよパピーアンドマミー アーンド ジジ様〜!!
そんでバァちゃんはとにかく泣くな。シクシク泣くだろうな……。
そこまで考えて、ガバリと起き上がり、今わたしが自分でできる事をする為に歩き出す。
「まずは……蘇れ!!脳細胞!!!」
羽ペンにインクをつけて、ノートに記憶のある限り内容を書き出す!!
アラフォー、いやアラフィフの家事の合間の流し読みの記憶だし、色んな混ざって情報出てきちゃうのも仕方ない。
それでもざっくりとでも、データがあるか無いかじゃ全然違う。
思い出せるところは必死で思い出して、自分がどうして行きたいのか、いやどうやって生きて行きたいのか、生涯設計も考えて行こう。
一つ一つ、悪い可能性を潰せるなら潰して、一つ一つ、大切な人達と笑って過ごせる未来を作りたい。
本当なら、あの時交わしたロイ様との時間、あの可愛らしい笑顔も守りたい未来ではあるけれど…
あんな6歳にしてイケメン行動取れる彼に、わたしの中の前世の私が耐えられるのか自信もない!!!
ロイ様!申し訳ないけど、その王子スマイルの行き先は、どこかのお嬢様に向けて、そんでもって国を率いて幸せになってね!!!
わたしはわたしの手の届く範囲の人の幸せしか守れない。
正直わたしの手では…それすら守れる自信もないけど……でも……、
「やれるだけやってやるんだからぁぁぁぁぁぁ!!」
そしてわたしはノートに鬼の形相で向かうのであった。





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