ペンちゃんあなたペンちゃんって言うのね!!(練習)
「ユーリ!!!」
「姉さん!!!?」
お父様とシルクが温室に飛び込んでくるのは同時だった。
「こんなはずじゃなかった感が満載ですわぁ〜」
2人が入って目に入るものは、ほろほろと涙を流しながら、寛いだポーズの黒豹みたいな大型獣の身体に手を回し、抱きしめているわたし。そしてその涙を優しく舐めてくれる大型獣。
正解には豹なのかわからない。虎よりもひと回り以上は大型の真っ黒い猫科っぽい生き物。めちゃ大きい。そして白は綺麗に隠れてしまった。わたしのペンちゃんはいずこ…
前回の様に白が黒を隠したなら白豹だっのか、でも逆だったから、真っ黒な黒豹。強そう黒豹。
お父様とシルクは、戦闘態勢に入っていいのか、泣きながらも抱きしめている私を見て、保護すべきかこのままでいいのか悩んでいる。
「ユーリ?とりあえずこちらにこれるかい?」
「お父様ぁ〜」
グズグズと泣きながらも、立ち上がり黒豹を撫でれば、目を細めて気持ち良さそうなのが可愛い。
「うぅ…可愛い。あなた可愛いし、良い子なのだけれどもぉ〜」
もう一度抱きしめて、お父様のところへ向かう。
「姉さん…まさかだけどね?」
ビクリと反応すればシルクが笑顔になる。
ヤバイ…一番怖い笑顔だ。
昔はこの笑顔に騙されてたけど、この笑顔の後に許して貰えたと思ってヘラヘラしてるとものすんごい怒られる。よし謝ろう!!!
「シ…シルクあのね…ご「ごめんとか聞きたくないから、お父様と一緒に詳しい説明聞かせてね?」」
ひぃぃ…
***
そしてここはお父様の執務室。
「ユーリ?とりあえず一度立とうか?」
「いえ、お父様、わたくしはこのままで」
床に座るわたしに、困った様に、でも言うだけ無駄だと思ったのか、お父様は近くのソファに座る。お父様が座ったらシルクも座って「姉さん?そっちのソファに座ってくれる?」と先程と変わらない笑顔で言われたので、切腹気分でしていた正座をやめて2人の向かいのソファに座る。
「それでユーリ?僕らには温室から一瞬光が溢れたあとに、暗くなった様に見えて、襲撃なのか爆発なのかと慌てて行ったのだけど、実際のところ何が起きたのかな?」
「えーっと…」
それは多大なるご心配をお掛けしたと思いながらも、何と言っていいのか分からず口籠ってしまう。
「お父様、姉さんと僕は今日学校で召喚魔法を使う子に会ったんです」
そう言ってこめかみをコンコンと指で叩きながら、
「それで、余りにその召喚獣が可愛くて、わたくしもあんな可愛い召喚獣が召喚出来ないかしら〜?でも出来ないと思うし、試しに一人でやってみよう!!って考えたんだと思います」
「凄いわシルク!!その通りよ!!」
思わずうんうんと頷きながら拍手を送れば、めちゃくちゃ怒ったオーラを出された。なんなら部屋の気温が5度くらい下がった。手はお膝に戻して黙ります!!
「まぁまぁシルク。落ち着きなさい。ひとまず無事だったんだから、ゆっくり話を聞こう?さぁユーリ?ちゃ ん と、説明なさい?」
ヤバイ…お父様も怒ってらっしゃいますわ…
笑顔で怒るところ、親子で似てる…ひぃぃ…っ
***
「つまり、シルクの言った通り、召喚獣に憧れて黒と白は混ぜたらグレーだし、なんとかならないかな?と思って、無理だろうし一人でやってみたら召喚出来てしまって、でも思った以上に大きな子が来て、びっくりして泣いてたけど、召喚獣が悪い訳じゃないから抱きしめてたって訳だね?」
お父様の纏めに頷く。
そして2人に物凄い大きな溜息をつかれたわ…
「姉さん?しかも召喚の言葉を変えたりしたら駄目だよ…今更だけど…」
「何故ですの?」
「帰りに言ったけど、召喚獣は危険な生き物だって言ったよね?ちゃんと侍従関係を結ばないと何が起きるかわからないから、召喚の言葉は契約と同じなんだから、召喚獣が亡くなるまで自由に…なんて聞いたことないよ…はぁ〜…」
わたしも聞いたことないレベルの溜め息を聞かせて貰いましたわ…とか言ったら流石に氷付けにされる気がして黙る。
「で?ユーリ、名前は付けたのかい?」
「名前?名前ですか?そう言えば付けておりませんでしたわ!!」
ポンと手を打てば、シルクがなんだか慌てた様子で立ち上がる。
「ちょ…違う!姉さん!ちょっと待っ…!」
「クロモリ!クロモリに致します!黒くて護る、クロモリですわ!!」」
盲点だったと慌てて考えた割にいい名前が付けられたと、ふんすと自信ありげに名付けたら、お父様とシルクがやっちまったとばかりに脱力している。
「あら?どうされまし…」
言い掛けると同時にわたしの後ろにブワリと闇と光が渦巻き、それが散るとその中心からクロモリが現れた。
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