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【書籍発売中】悪役令嬢なんてもうちょい若い子に任せたい  作者: そらいろさとり
高等部 一年生編

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あぁ憧れの可愛い家族。


わたしは屋敷の温室に一人で居る。

アナも巻いて一人で来た。

勿論花を愛でに来た訳じゃない。


今日の帰り道、シルクから聞いた召喚士の話。ウキウキするよね!!


召喚士は今では数少なく、ミラさんのウサちゃんの様に小さな召喚獣が稀に居る程度。


学生でも召喚士の生徒はミラさんだけ。

黒魔法レベルのレアさなんだそうだ。


そして召喚士はあの水晶に触った時の色がグレー。


生命を脅かす黒魔法と、生命を生み出す白魔法と、その中間に居るのが召喚士との見解だとか。



うん。そう言われたら考えちゃうよね!

わたしの水晶の色。黒に白。

グレーじゃないけど結果的に混ぜたらいけるんじゃないかなぁ〜とか考えちゃうよね〜!!


頭にはあの可愛い可愛いウサちゃんを思い描く。

前世でも幼い頃から憧れて、飼いたくて飼いたくて堪らなかった小動物。でもマンションだったし飼ってもらえず、大人になった頃には育児に追われ、老後の楽しみと生きていたら、それどころではない状態に。


しかも…ミラさんのウサちゃん、ぬいぐるみ以上に可愛らしい御姿でした。


帰って即読んだ召喚士関連の文献でも召喚獣は基本大きくても大型犬くらいの大きさらしい。ワンちゃん…!!


召喚獣ってことは、わたしに仕えてくれるのだろうし、この先断罪されて他の国に行くことになったり、庶民になったとしても、その子はわたしに付いてきてくれる。

貧乏になっても辛くとも、その子を生かさなきゃいけないと思えば頑張れる。もう生涯独り身覚悟だったけど、召喚獣は主の命と共にあるって書いてあった。


それってもうリアルに子どもみたいなものじゃない!?いや、子供は巣立ったら自由になるけど、召喚獣は共にいてくれる。離婚もしない。断罪もしない。ここ大事。

独身女性はペットを飼っちゃいけないとか、前世の雑誌で読んだけど、大きなお世話よ!!共に生きる命!尊いと思って何が悪い!!



…とまぁ現実逃避も入り込んで来たけど、とにかく愛でたい。夢であった小動物を。倒置法。


白と黒だったから、ある意味グレーじゃね?って無茶苦茶だと言われる見解も承知で、そんなん言っても召喚なんて出来ないだろうなぁってのも勿論承知で。


そして結果的に出もしない召喚魔法を一人やってる、そんな厨二病状態のわたしを見られるのが辛くて一人で来たという訳なのです…。


ここがファンタジーの世界であっても、16の娘が出来もしない召喚してるの痛いよね…知ってる。


脳内で言い訳やら恥ずかしさやらごちゃ混ぜになって来たので、改めてさっき読んだ本の召喚の部分を思い返して…誰かがやって来る前に行動を起こす。


最初は…『我は求めん、我に仕え、共に生きる者を』だったけど、ちょっと恥ずかしい。

…えっと、自分の言い方でいいわよね?


「わたくしは求めます。わたくしに仕え、共に生きる者を」


プツリと指に針を刺して…『我に仕え、命を賭して我を護り生きる者よ 生まれよ』だったから…


「わたくしと共に、わたくしの願いを護り、生きてくれる子よ。生まれて頂戴!」






【へんじがない。ただの独り言のようだ。】





とかなんとか下に説明入らないかしら…。


以前の様に魔力が動くでもなく、空気が張り詰めることもなく、ものの見事に何事すらも起きていない。


…とりあえず絶対わたし今、顔が赤いわ〜。真っ赤だわ〜、お猿さんのお尻レベルで真っ赤だわ〜…。

厨二病やらかした感満載。セリフ変えたのも逆に痛い。むしろそのまま言えば…いやそれは流石に無理っ!


帰ってアナに巻いて逃げたこと怒られよう…

令嬢怒るメイドってどうなの?いや、幼い頃から仕えてくれて、姉みたいな感じだし、わたしが日頃から無茶したりするから悪いんだけど…


とぼとぼと出口に向かおうとして、そう言えば最後の口上があったなぁ〜と、ポソリと呟く


「そして生きて…共に歩み、そして貴方が亡くなるその日まで正しき歩みを止めぬ事をわたくし望むなり」


本当は『我生きて死ぬる時まで、我に従い続ける事を望むなり』だったけどね。


例え可愛いウサちゃんでも、死ぬまで従えはやだな。

召喚獣とはいえ、自分の歩き方くらい選べるといいな。とか、わたしが死んだら共にとか…それだけは嫌だわ…。


前世で…置いて来てしまったけど、あの子達がそれぞれの道を歩んでるとわたしはただただ願っているから…。

立ち止まらずに、悲しみを乗り越えて、きっと歩んでくれているはずだから。


娘が孫を抱いて微笑んでいる姿、お嫁さんと恥ずかしそうにタキシードを着ていた息子を思い出せば、もう忘れていた涙が一粒溢れた。



その溢れた涙が頬から落ちる時、ブワリと身体の中から光が溢れ出し、涙をすくい、そして集まり、形が作られて行く。


茫然としていると、今度は身体から闇が溢れ、先程針を刺した左手の血をすくい、それは白の塊を覆い隠す様、例えるなら黒いリボンを巻くごとく形取っていく。


「あの時と逆みたいね…」


色は逆だけれども、学園で触れた水晶の時に似たその動きを、わたしはどうしたもんかとただ眺める。


そして思いつく。


白と黒…もしや……召喚成功の上に、可愛い代表のパンダなのではないのかと!!!

もしかしてペンギンもあるかも!?ぺんちゃん!あなたの名前はぺんちゃんよ!!



ウッキウキワクワクとその光と黒いリボンの動きを見つめていると、突然リボンが闇に変わり目の前に広がって見えなくなった。




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⭐︎書籍情報です⭐︎
こちらの作品が書籍化致します!

仁藤先生の美麗な表紙が目印の、2025年8月発売
『悪役令嬢なんてもうちょい若い子に任せたい』

仁藤先生の素敵な挿絵が入ってます!
どうかご自宅にお迎えいただけると嬉しいです!
i7mc3drn1i2j620t1t1li4yqeigb_g1n_wr_19o_14dfj.jpg 一部通販はこちらで是非(*´꒳`*)
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タイトルまたは「そらいろさとり」で検索ご利用下さいませm(_ _)m
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