正解はなんだったのか誰か教えてほしい。
ロイ目線です。
「ロイさん事件です」
「元がどこかサッパリわからんがどっかで聞いたフレーズな気もする…。いやそれはさておき、なんだ?その真剣なら顔は?…まさか本当にまずい事が起きたのか?国を揺るがすような話か?」
珍しく真剣な顔で生徒会室前で俺を待ち構えていたシルクに不安を覚える。
「いえ、国は揺るぎはしませんが、貴方が僕と同じ状況ならばロイさんは揺らぎます確実に。僕はいま揺らいでます。マズイです」
「俺がか?ハッ!俺が何に揺らぐと言うのか!」
「ドヤ顔してられるのも今のうちですよ。百聞は一見に如かずです。どうぞ!!」
そう言ってシルクが自分は扉に隠れる様に生徒会室を開ければ、部屋にはユーリが一人居て、音に気が付いたのかこちらを振り向き…ほにゃりと笑った。
バタン!!!
「揺らいだ?揺らぎましたよね?仲間です!!」
思わず勢いよくそのまま締めてしまった扉の前で、シルクが珍しく楽しげに話しかけてくる。
「滅茶苦茶可愛い顔で笑われたのだが、何故だか嫌な予感が拭えない!!」
「合ってます!流石ロイ様です!王に相応しい良い勘をお持ちです!!」
「褒めてないだろソレ!!」
「さぁさぁ!中に入りましょう!!」
「押すな!押すな!」
そのまま押されて抵抗虚しく2人で倒れるように入れば、「何してらっしゃいますの?」といつもの様に声を掛けられ、見上げれば、ユーリはほにゃりと笑って頭を撫でられた。
「2人とも仲良しですね!義弟とも仲良くしてくれてありがとうございます!ロイ様は賢いし毎日頑張ってらっしゃいますから、立派な王様になれますよ!」
「いや…まて、ユーリ?」
「なんですの?あっ!遊びますか?」
「うん…ちょっとシルクと2人で話してくる」
「男の子同士ですものね!わかりましたわ。」
許可を得て、部屋の隅までシルクを連れて行く。
「オイ!なんだアレは!?なんか知らんが、出会った6歳ごろの扱いされてる気がするぞ!!?」
「流石です!多分その認識で合ってます。素晴らしい洞察力です!」
「お前、こーゆー時だけ息する様に褒めるな!?」
「……姉が、今朝、カフィトル・マクラウドに会いました」
真剣な顔で話すシルクの言葉に、俺は思わず天を仰ぐ。
「よりによってアイツか…」
「はい。アイツです」
「…それで?」
「まぁ多分お察しの様に、久々の可愛い小さな子に会った状態から、姉の…姉心どころか、親心なのか祖母心レベルの謎のゾーンに入ってしまいまして…」
「それでアレか?」
「それでアレです」
2人でそっとユリエルを見れば、ほにゃりと笑って手を振られた。
「…俺はこの10年程、か〜な〜り頑張ったぞ?」
「あんたがヤキモチ焼いて姉の会いたがってた弟妹に会わせなかったのも悪いと思います」
「いや、お前こそ弟妹使って家族ぐるみで囲おうとしてるとか抜かすから…!」
「えぇそうですよ!!姉の小さい子好きは、僕が1番身に染みまくって知ってますからね!!」
「何を逆ギレして…」
「2人とも、学校で大きな声出したらダメよ!?ごめんなさいは?」
「「……ごめんなさい」」
「はい良くできました」
撫でられた…そして元の位置に戻っていった…。
「一時的なヤツです。多分ずっと小さな子を構いたくて仕方なかったんだと思います」
「…弟達に会わせなかった弊害がまさか…」
「あらロットさん」
((…ここで1番小さいヤツ来た!!!))
(どうしますか?)
(よし、様子を見よう!)
普段はしないアイコンタクトで会話をすれば、ソファの影から様子を見る。
「二年生も授業終わりましたの?」
「おー、今日の授業は終了や!生徒会の仕事もアベイルはんや皆んなが手伝ってくれたお陰で仕事もひと段落着いたし、今日は一休みやわ。姫さんもお疲れさん」
「そうですの。お疲れ様でした。宜しければお茶でも入れましょうか?」
「姫さんが入れてくれるなんて光栄やな!遠慮なくお願いしてええの?」
「勿論ですわ。ではお待ちになって下さいませ」
そう言ってユリエルは準備をしに隣の水道がある部屋へ行った。
「で?なにしてますのん?」
「普通でしたね…」
「普通だったな…」
「よくわからんが面白そうな気配がするわ。オレにも教えたって?」
***
「お茶入りましたわ。ロットさんどうぞ。…あと2人はいつまで隠れていらっしゃるのかしら?そろそろちゃんとなさってね?」
「ごめん姉さん」
「ユーリのお茶、俺も頂くとするか」
ソファに2人がしぶしぶ座れば、その隙間にユリエルが入る。
「姫さん?そこ狭ない?」
「狭いですわ。でも2人を隣り合わせると昔っからすぐ喧嘩…までは行かなくとも、なんだかギスギスしますのよ。なので苦肉の策ですわ」
「2人は昔から変わらへんのやな!」
2人は互いに別の方を向いて頭を抱える。
彼女にとって、今の自分達はあの幼い頃のままだ。
「なぁ姫さん?オレも姫さんみたいな姉さん欲しかったわ。どうや?そんなでかい2人より、オレのが可愛いんとちゃう?」
ロットが仕掛けたのを見て、俺たちはユーリの反応を探れば、何事もない様に首を傾げて返す。
「あらロットさんは可愛くありませんわ。しっかりした考えもある格好良い男の子じゃないですか」
「うわぁ〜…思いの外褒められて恥ずかしいやら殺気が酷いやらどないしよ…」
「ユーリ?よーく見ろ。俺も格好良い、うん。相当良い男に育ったぞ?」
「姉さん?僕も改めて見てくれたらあの頃みたいに手を引かれる子供じゃ無くなってるよ?」
「そうねぇ。たしかに2人とも大きくなったわね…もうすぐわたしなんて居なくても立派に旅立てる日も近いわね…」
しょんぼりと下を向かれ
「いや…」
「そうじゃなくて…」
お茶に映る彼女が寂しそうで、
「ユーリ!!!今度ティアとデイクを連れてセルリア家へ遊びに行っていいか?よし、末の弟のリックも連れて行こうと思うが、都合をつけられるか?」
「んまぁぁぁぁぁぁ!!!宜しいんですの?!?」
ユーリの聞いた事のない大きな声で返事をされ、生まれて初めて耳がキーンってする。
「いつですの?いつに致します?ずっと話は聞いてたのですが、お会いする機会がなかったですものね!ロットさん!9歳と5歳頃の子が喜ぶ様なものお店に御座います?シルク!お父様にまたロットさんのお店に行って良いか御許可頂かないと!あとロットさんのお店で子供用品がもし無いなら、また案内お願いして宜しいかしら?えっとロイさん!可愛がっていいのですわよね?不敬罪とかもうそうゆうのどの辺までですの?あっ!婚約者だから大丈夫とかその辺融通利かせて下さいます?今日の帰りにお店寄ったら流石に駄目よね…とりあえずシルク!今日はお仕事ないみたいだし帰りますわよ!」
立ち上がり右へ左へ動き回り…出ていった。
「婚約者ってユーリから初めて言われたのに、なんだこのやるせなさは…」
「弟妹使って今の立場を確立させましたね」
じとりとした目を向けられた。いや、仕方なくないか?と言いたいが、正直その通りなので反論も出来ない。
「うひゃひゃひゃ!いやーホンマ姫さん小さな子好きなんやなぁ〜、毎度おおきに!」
「では、姉が帰る様なのでお先に失礼します」
「では俺も失礼する」
互いに立ち上がり、ロットを見下ろし、
「「ではしっかりした格好良い男の先輩。あとは宜しくお願いします」」
「うわぁ〜…男の子の嫉妬こっわ!」
そうして生徒会室を出て…お茶の片付けを押し付けたのはささやかな抵抗だと許して欲しい。
姫さんのお茶うんま〜
そして本当ならシルクには「姉さん、事件です」と言って欲しかった。元ネタが分かりにくくてすみません!!!





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