右見ても左見ても、知人はイケメンばかりなり。前世の徳…そんな積んでた?いや普通だわ…。贔屓過ぎるぜ神様。
「あの…ユリエルさん?こんなところで何を?」
「ア…アベイルさん!?」
ここは東屋から少し離れた垣根の様な木々の合間に座り込んで隠れていた私に声を掛けられた。
「ごめんなさいっ!皆さんに任せてサボってるわけではございませんのよ!?…あれ?サボってたのかしら?」
言いながらまだ掃除中にこんなとこに隠れて居れば、サボってると言われても仕方ないと言うか、サボってるとしか言いようがないと気がつく。
「ふふっ、そんな事は無いと分かってますし…ユリエルさんがたとえサボっても文句言う人居ないですよ?」
「わたくしが…公爵家の娘だから?」
「いえ、ユリエルさんが人一倍頑張ってらしたのを…僕らは知ってるからです。だから…えっと、ユリエルさんがちょっと休憩してて、それに文句がある人が居れば、僕らはみんなユリエルさんの事護りますから…」
照れくさそうに伝えてくれるその誠意に涙がちょちょぎれる…友達って有難い。
「わたし…偉そうなことばかり皆さんの前で言って、恥ずかしくなっちゃって…自分もまだまだ至らない事ばかりなのに…ちょっと年の功で語ってしまうなんて…自分が痛すぎて、ちょっとここに隠れて冷静になろうとしてたの…」
「年の功?」
「あっ!!イヤ!それは言葉のアヤで!!えっと、なんだろ…あー上手い言葉が出て来ませんわ!?それにしてもよくわたくしを見つけましたわね?結構上手く隠れてたつもりですのに!?」
「えっと、僕…魔力…って言うのかな?そーゆーので人探し得意なんです。なので、見つけてしまって…ごめんなさい」
そう頭を下げられて慌ててしまう。
「いえ!わたくしが悪いのですわ!!むしろ出て行く切っ掛け?を頂いて有難うございます!?みたいな?えっと…あら?東屋はどうなさいました?」
「先生が見て下さってます」
「そうですの。それと、先程は嫌な思いをさせてしまい申し訳ございませんわ」
先程の記憶が蘇り思わず立ち上がり頭を下げてお詫びするが、「ユリエルさんが謝ることではありませんよ?僕の…名前が知られていないのが…努力がまだ足りないのだと思います」なんて言われてしまった。
おずおずと顔を上げれば、眼鏡を外し、柔らかな微笑みを浮かべるアベイルさんが、「ふふっ!葉っぱ、ついてますよ」と、頭の葉っぱを取って、それを顔の側に運んで微笑んでる。
…顔がイイっ!!!
くそぉ…眼鏡外したらイケメンとか王道過ぎるだろ!!
もう一つの王道の、(3.3)であってくれたらおばちゃん笑顔で全力で可愛がれるのに!!!
思わず顔に集まりそうになる熱に、
パァァァァン!!!と気合を入れる!
「元気ですかぁぁぁぁ!」
「え!?ハイ!」
「元気があればなんでも出来る!!行きますわー」
「え?!え!?あっはい。」
「アベイルさんは持ち場に戻る!!わたくしはもう一度何処か巡って、先程いえなかった掃除のノウハウを教えてきますわ!!では!後程!!」
暫くポカンとして、その後クスクス…そしてあははっ!っと声を出して笑う、そんなわたしの見たことのないアベイルさんが居たことは知らず、とりあえず必死に昇降口に戻り、ホウキでの角の掃除の仕方や、棒に要らない布を巻き、紐で縛れば細かい場所の掃除がし易いとか、窓ガラスは新聞で拭いたら綺麗になるとか、そんな豆知識を披露しているうちに、その日の掃除の会は終わったのでした。
細かい掃除してる時後ろから覗き込む様に、耳元で
「へぇ?これは素晴らしい知識だね?ユリエルくんは色々な事を知ってるね?私にも色々教えてくれるかな?」
なんてイケメンボイスでレイさんに囁かれたとか、そんな件もあったけど、もう今日はおわりったら終わったのですっ!!!





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