ビシッとバシッとしてるとバリッと決まるわよね!
次は正門から裏口に繋がる通路をロイさんが担当されているところを見て、そのまま裏口から入って、シルクが担当している角部屋の音楽室を見て、レイさんが担当の昇降口に行ったが、3人とも流石としか言えない結果だった。
レイさんは言わずもがな、シルクとロイさんは一年生にも関わらず、王族や公爵としての教育が生きているのを感じる的確な指示。
ビシッというロイさんに、シルクはそれよりは柔らかいけど、筋が通ってて有無を言わせぬ物言いをしてた。
あらやだ!あの子達立派にカッコ良く育ってた!!あれならお嫁さんもいつ来ても安泰な気がするわ〜!!
なんてルンルン気分で庭園奥のアベイルさんが居る東屋に行ってみたら…
「はぁ?!なんで俺が雑巾なんてやるんだよ!汚ねぇだろ?仕事分け方考えろよな!!」
「えっと、すいません…僕と代わりますか?」
「代わりますか?じゃなくて、お前がやれよ。ったく、王族やら公爵家との繋がりが出来るかと来てみれば、よりによってこんななんでもないヤツと当たるなんてついてねぇな!」
「すいません…あの、掃除しないでお帰り頂いて大丈夫ですよ?」
「はぁ!?やらねぇなら帰れって?せめてやってたとお前が掃除して俺の名前で言っとけよ」
そう言って長椅子へ座り、テーブルを叩きアベイルさんを睨み付けてるのが見えた。
わたくしカッチーーーンときましたわ!
一言物申してやろうと思ったその時、
「いえ…この掃除は慈善活動。つまり善意の行動です。誰がどうしていたなどは…基本報告はいたしません。もし僕に御不満がありましたら…すいませんが、またやる気になった時に…ご参加頂けた方が、周りの皆さんのモチベーションも良いですし、これを計画して、沢山準備に走り回ってくれてた…生徒会やユリエルさん達もそちらの方が嬉しいと思いますので。なので、今日は気分が乗らないならお帰り下さい」
アベイルさん!普段おどおどされてるのに、なんだか立派になって!!
でもこの掃除の会で、一番怖かったのがこれだった。
貴族は縦社会で、学校主催のボランティアとはいえ、右に倣えとは行かないと思ってたのに、よりによって離れた場所の東屋周辺の掃除をアベイルさんに当ててしまっていたことに違和感を感じなかったわたしの落ち度だわ…。この国でアベイルさんの「ナルファン家」はわたしは聞いたことがない。つまり聞いた限りは有力な貴族に当たらないのだろう。
しかも正式な生徒会メンバーですらない。
そうなればわたし達の中で一番叩きやすい人となってしまうのは目に見えていたのに…。
自分の至らなさに頭痛がする。
でもアベイルさんは、キチンと言ってくれた。無理矢理巻き込んで、こんな嫌な事を言われても、負けずに立ち向かってくれた。
では、今度はわたしが立ち向かう番ね!!!
「は!?お前誰に向かって言ってんだよ!?」
立ち上がり、座っていた長椅子をアベイルさんに蹴り飛ばした。
「ハント・クルドゥ・ドリエルくん。君が今蹴り飛ばした物はなんですか?」
わたしが声を上げる前に、ものすごーく冷たい声が後ろからした。
こんな時の為の見回りの先生いたよね。
無音すぎて忘れてたし、これわたしの出番ないパターン?





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