普段ニコニコしてる人の方が怒ると怖い。
あの日から二週間前近くたったかしら?
わたしとシルクは予定さえ無ければ生徒会室に通っている。
掃除についてのポスター作りや、教師との打ち合わせ。有志を募る為の広報活動はどうするのか、生徒会管轄にするに当たり、社会勉強としての活動にする、トラブル防止の為に教師を配置するかどうかなど、…ただ掃除をするってだけなのに…
「大変ですわね…」
気がつかずに口から溢れた。
「ユリエルくんやシルク君が手伝ってくれているおかげで、スムーズに進んでいるよ。有難う」
「いえ、わたくし達のお手伝いなんてごく一部でございましょう?レイさん達の多忙さに比べたら申し訳ない位ですわ。あと…ずっと聞きたかったのですが、会長のレイさんに、会計のロットさんの他に、副会長や書記の方はいらっしゃいませんの?」
「あぁ、副会長と書記は兼任なんだけどね、その彼女は家の事情で先月から半年程休学しているのさ」
「まぁそうでしたの。尚のこと大変ですわね」
「まぁでも、ああ見えてロットは優秀でね、おかげでなんとか回ってるけど…流石に人手が欲しくなって来たね」
ふぅっと溜息を吐かれ、その顔に珍しく疲れが目に見えて…
「あっ!それでしたら心当たりがございますわ!」
思わず声にだしていた。
「えっと…ユリエルさん、困ったことって…あの…」
「皆さま、我が学年の誇る優秀なアベイルさんですわ〜」
翌日、放課後帰る準備をしていたアベイルさんを生徒会室にご招待した。…うん無理やりでは無かったと思う。「ちょっと困ったことがあって手伝って欲しい」とだけしか言わず連れてきたから罪悪感が無いわけではないけれど?
しかも連れてきたわたしは兎も角、生徒会室に入った途端にシルク、レイさん、ロットさんがドタバタと仕事で動き回っていたし、何事かと思うわよね…。
そこで一通りの説明をしてから「もしお時間が宜しければ暫く手伝って頂けないでしょうか?」と頼み込むが、アベイルさんは、顔を青くしてブンブンと首を振られてしまう。
「ボ…ボクが生徒会の仕事ですか!?む、無理ですっ!」
「あぁ挨拶もせずに申し訳なかったね。君は…たしか首席入学した子だね。これは頼りになりそうだ。申し訳ないが私からもお願いしたい。一月程の間で構わないから、手の空いてる日に少しデータを纏めるとか、会計の仕事…計算をしてくれるとか、雑用になってしまうのだけど、とにかく今は手が足りなくてね」
「アベイルさん…突然連れてきてしまってごめんなさい。でもわたくしまだお友達と呼べる同級生はアベイルさんしかおりませんの…」
自分の交友範囲の狭さと、今更ながらに無理矢理連れてきた申し訳無さにしょんぼりとして居れば、
「あの…そう言われると…あの…断れないといいますか…ユリエルさんのお役に立てるなら…」
「では宜しいんですの!?」
嬉しくて見上げれば、眼鏡の下の目が右往左往しているような…あんま見えないけれど。
「…はい。一月程でしたら」
「有難う御座いますわ!!」
そうしてわたくし達に大きな戦力が加わったのでした!!
「で?何故俺を誘わないんだ?」
翌日また生徒会に行けば何故か生徒会室のソファでロイさんが偉そうに座ってた。
「だってロイさんお忙しいでしょう?ロイさんは公務も行かれなければならないですし。お仕事増やすわけにいきませんわ?」
「だからと言って呼ばれないのはおかしくないか?」
「おかしくないですよ。ロイさん、早く帰ってください」
シルクがつっけんどんに言えば、ロイさんに青筋が見えた気がする。
「あー!仕事したいならいっっくらでも仕事回したるから、このクソ忙しい中、餅なら外で焼いて差し入れにでもしてくれへんか!?」
…連日の忙しさに温厚なロットさんがキレたわ…
後半何言ってるのかよく分からないキレ方が更に怖い。
ロイさんも申し訳ないと思ったのか出来上がったポスターを受け取り、昇降口に貼りに行くらしい。
王子様の雑用姿…レアだわ!





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