ウインドウショッピングすると結局買っちゃうから、それはウインドウショッピングでは無い事に気がつく。
ドレスは後日自宅に届けて貰うので、お店で買ったちょっとした物まで馬車まで共にお届けすると言う、ロットさんのお父様や従業員の方々を断り、少ない荷物はロットさんがせめてものお詫びと言って持ってくれ、朝に待ち合わせした場所まで案内してくれた。
「ホンマ堪忍やで…でもエルちゃん…もう姫さんでえぇか。姫さんが買うてくれたらうちの店も箔がついたし、申し訳ないけど感謝やわ」
詫びながらも商売人の正直な言葉に思わず笑みが溢れてしまう。
「いえ、素敵なお店でしたわ。ロットさん、お忙しい中今日はお付き合いありがとうございました」
「お世話になりました。僕だけではこんなに沢山のお店を回る事も、姉さんがここまで楽しむ事も出来なかったと思います。ありがとうございました」
「いやいや、きっとシルっくんだけやったとしても、きっと姫さんは満足してたと思うわ。そこも余計なお邪魔してすまんかったな!でもオレも一緒に回れて楽しかったわ!また学園で会おな!」
ニカっと笑うロットさんに手を振り馬車は動き出した。
「姉さん、満足そうだね」
「えぇシルク。本当にありがとう!1日がこんなに早く過ぎるの初めてかも知れないわ!シルクのおかげね!」
「僕は大したこと出来なかったけどね…」
「シルクがお父様と話してくれたおかげよ!あっ!そうだわ!!」
「どうしたの?荷物見て…なんか忘れたの?」
「違うわ!えっと…ハイッ!」
突然目の前に一つの荷物を出され、戸惑いながらも受け取ってくれる。
「今日はありがとう!プレゼントよ!って…シルクがお金持ってたから払って頂いたものなんだけど…」
うぅ…イマイチ締まらない。プレゼントは自分で稼ぐか、せめてお小遣いの範囲で買いたいけど、この世界で買い物した事がないわたしにはそこまでは出来なかったのよ…ショボボボボーーン…
「えっと…開けても?」
「勿論よ!!」
大きく頷けば、それはそれは嬉しそうな笑顔で開けてくれる。
「カフスボタン?」
「持ってると思うけど、氷の形してるのにブラックの宝石なんて変わってるでしょう?氷ならいつも青とか白とかなのに色も珍しいし、氷はシルクの属性でしょう?……えっと…気に入らなかったら…あの…他の物に変えて貰ってもいいし……」
思わず目に止まり買ったけど、話してるうちに少しずつ自信がなくなり言葉が尻すぼみになっていってしまう。
「ううん…嬉しいよ。今まで貰ったプレゼントの中で一番嬉しい。姉さん、付けてくれる?」
「勿論よ!!!」
シルクは姉のわたしも照れてしまうほど、優しく素敵な笑顔を向けて、私の横に移動すると右手を出してくれたので、その腕にカフスボタンを付けて…付け…つ…
「ごめんなさい。付け方…わからなかったわ…」
「あはっ!そっか姉さんは付けた事ないよね!」
笑いながら器用にも自分で付けているのを見れば、なんとなく今日の事が思い返されて、凹んでくる。
「わたし…ほんと知らない事多いのね…お店でも一人で買い物も出来ないのよね…」
前世ではスーパーのチラシ見比べて、安いお店を回ってたというのに、世界が違えば勝手も違って、相場もわからない…。
「いいんだよ姉さん?それにね、このカフスボタン、姉さんの色でしょ?」
「あっ!そう言われたらそうね!」
「…気づいてなかったの?」
「気づかなかったわ!」
驚いて声をあげれば、何故だか物凄〜く複雑そうな顔をされた。
「あ…うん。そうなんだ。…えーっと…だからね、今はさ、僕のフォローは姉さんが、姉さんのフォローは僕が出来ればいいんじゃないかな?って思うんだ」
「シルク…」
嬉しくて胸が熱くなる。だからこそ…
「ありがとう!!私もシルクにいい人出来るまで役に立てる様に頑張るわ!!そしていい人出来たらその時は改めてちゃ〜んと、彼女の色のカフスボタン探すわね!!」
「……ハイアリガトウゴザイマス姉サン……」
鼻息荒く義弟の幸せな未来を描いてみたら、昨日のシルクより更に真っ白に燃え尽きている…ように見える。あれぇ?
「今日、そんな疲れさせてしまったかしら…?ごめんなさいねシルク…」
「イヤ、僕ハ姉サンガ楽シカッタナラ…」
そう言いながら、目の錯覚なのだろうけどまるでサラサラと灰になっていく様に見えて…
「いやー!シルクゥ!!生きてぇえぇぇぇ!」
可愛い義弟の肩を必死で揺すれば、
「ダイジョウブダイジョウブ大シタコトナイヨ…」
そんな片言のシルクを心配しながらの帰宅は心労に滅茶苦茶悪かった。
次回から買い物はもう少し計画的に、シルクを疲れさせない様にしようと決意した!!!
ブクマ評価感想等ありがとうございます!
もうこの嬉しさは…なんも言えねえ…!!
いや、嘘です。滅茶苦茶トコトンなんでも言えます!
有難う御座います!!感謝しかございません。活力になってます!有難う御座います!!(振り向きざまに→)ダイスキ!
後書きのネタが毎度古くてすいません…伝わらなかったらそれこそすいません…





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