雑貨屋さんとか可愛いよね!値段も可愛いと堪らないよね!ね!!
「お嬢様!よくお似合いです。」
子供の頃からの側仕えをしてくれているアナが朝から拍手までして褒めてくれてる。
「そうかな?変じゃない??」
スカートはドレスではなく、シンプルな水色のワンピース。靴もヒールもなくペタンコの、小さく刺繍がしてあるだけのシンプルデザイン。
なにより頭にカツラを被って茶色い髪にカチューシャ、瞳はカラーコンタクト…って訳にはいかないから、伊達眼鏡を掛けて、さり気なく色を隠してる。
「お嬢様は昔も今も可愛らしくて美人なので、何着ても一流に着こなせます。」
「褒めて貰えるのは嬉しいのだけど、バレちゃまずいのよ?その辺は大丈夫かしら?」
「パッと見では、ただの町の子に近いと思います。今日だけは言葉を崩してお話しになられた方が宜しいかとは思いますが…」
「そっか!気をつけるわ!ありがとうアナ!」
トントンとノックが聞こえ、返事をすれば「準備できた?」とシルクが入ってきて…固まった。
「あら?似合わないかしら?」
「あっ…いや、一瞬別人みたいでビックリして…ごめん。とても…その可愛いと思うよ」
「ふふっ!ありがとう!では行きましょうか!」
ユリエルは悪役と言うマイナス面があるのに、ユリエルに生まれてよかった!とも思えてしまう一つの理由はこの顔ね。
しかも毎日アナが可愛くしてくれるから、毎日ニコニコで過ごせるわ。しかも丁寧な御手入れもして貰えるし、吹き出物よサヨウナラ〜!
ちなみにシルクも普段より町の子寄りな格好をしていて、それがいつもより少し幼く見えて、思わず「今日はなんだかシルクも可愛らしいわ」って言ったら、少し落ち込んでしまった様子を見て、15の男の子に可愛らしいは無かったか!と、反省中。
「アナ!今日もありがとう!いってくるわね!」
「はい。いってらっしゃいユリエル様、シルク様。お気をつけて」
その後、お父様とお母様に出掛ける前に挨拶すれば、
「あらぁ〜どこのお嬢様かと思ったわぁ〜可愛らしくて素敵よぉ〜」
「ユーリ!そんな可愛らしい格好してたら誘拐されてしまわないか!?しまわないのか!?ロズ!今からでもユーリを止めてくれ!」
などの一悶着は割愛。
遅刻するかと思った…
「ロットさんお待たせいたしました。」
待ち合わせの湧水広場で馬車から降りて告げれば、「おー!こっちに合わせてくれたんか!いやぁ2人ともよぉ似合うわ!」と手放しで褒めてくれた。
「ありがとうございます。ところで…ホントに無知で申し訳ないのですが、わたくし土地勘もどんなお店があるかも存じておらず…」
「あー!姫さんあかんわ!そんな話し方しとるやつは此処にはおらへんよ!なんかもっとこう…崩して喋って貰わな、即お貴族様って警戒されてまうんよ」
「あっ!そうでした…えっと、そうね!なら…ここの場所全然知らないから、良い場所教えてくれるかし…教えてくれる?」
「おー!なかなかええなぁ!ほなオレのオススメスポット紹介するわ!姫さん…いやオレこそ姫さんはまずいか…エルちゃんはどんなん好きなん?」
「エルちゃん!?」
思わずシルクが聞き返せば「なんやシルっくん」と、うひゃひゃと笑って返される。
「わたくし…わたしはなんと呼ばれても気にしないし、初めてそんな可愛らしく呼んでいただけたから嬉しいわ!」
「こんなとこでユリエルさんやらシルクさんなんて呼んでりゃ、公爵様のお子様と同じ名だと気づくヤツもおるやろしな。今日は無礼講で頼むわ!」
「はい!宜しく頼みますわ!」
「ほな!エルちゃんにシルっくん行くで〜」
「シルっくん…」
微妙な顔のシルクには申し訳ないけど、わたしはワクワクでフォローする余裕が無かった!ごめんねシルっくん!
そしてそこからは新しい事の連続だった。
この世界に来て長くなってきたけど、やはり貴族と平民の生活は違っていて、それでも前世の記憶も重なり、新しさと懐かしさが交差して、不思議な気持ちになった。
地面に座って物売りをして居る人、野菜も前世に似た物もあれば、全く見た事のない形の物。
端の店では、鳥は頼めばその場で捌いてくれるらしく、血の匂いもする。
かと思えば、軒先で可愛らしい花を売っている小さな小さな売り子さん。
一つ買えば、ありがとう!と可愛らしい笑顔も貰えた。
お昼はロットさんオススメの屋台の串焼き。
ガブリとかぶりつけば、捌きたてだと言われ、先程の鳥を思い出すが、溢れ出す肉汁とシンプルな塩胡椒の味付けは格別だった。
少し綺麗な商店街的な雰囲気の場所には、服屋さんや紙屋さん、刺繍屋さん…どこのお店も一日中見てても飽きない可愛らしい商品が並んでいた。
「うふふっ!すごく楽しいわね!!シルク」
「……うん。楽しそうだね姉さん」
振り向けば疲れた様子のシルク。
両手にはわたしの買い物した荷物が沢山…
「ご…ごめんなさい!!シルクは疲れたわよね!?ヤダわたしハシャギ過ぎてたわ!」
「お!エルちゃん我に返ったか〜!」
そちらを見れば、呑気にお茶を飲んでるロットさん。
「いやこの並びの店に女子が来たら、もう止まらへんやろなって思って、そこの店のテラスで一休みしながら見させて貰うたわ〜。いや〜シルっくんお疲れさん!」
そう言ってシルクの背中をポンポンと叩く。
最初は買い物も遠慮してたのに、わたしが立ち止まるたび、シルクが
「姉さんが買いたい物なら買いなよ?本当はお父様も好きにしなさいって言ってたしね?荷物も僕がもってあげるから」
なんて甘い言葉囁く物だから、じゃぁ少しだけ…ならこれも…えっとえっと!わぁこれも素敵!!って歯止めがね…効かなくなってたらしいのよ。
「ほなエルちゃんが落ち着いたとこで、時間的に…最後のお店に案内してもええかな?」





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