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【書籍発売中】悪役令嬢なんてもうちょい若い子に任せたい  作者: そらいろさとり
高等部 一年生編

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水晶やら魔石とか、その辺の石と何が違うの?って言ったら「値段」って言われてその通りだなと思った


「次は…マーレッドくん、石に触れなさい」


「はい…!」


 先程から御年配の小柄な男性教師が次々に生徒を呼び出している。

 その壇上では白くまた角度によっては透明にも見える丸い…例えるなら占い師でも使いそうな水晶の前に生徒を呼び出している。

 高等部から入った生徒はこのクラスの2割程度、その人達をこの場で属性を調べている。


 ちなみに学校に入らなかった場合でも、この世界の成人の16になる頃に神殿に行って見てもらうそうだ。



 学校は義務教育じゃないのよね。

 貴族や、商人、神殿で働くとか、まずある程度お金がないと学園には入ることが出来ない。


 それに魔力は基本上位貴族の方が多いと言われているし、多ければ勿論扱いを覚えねばならないから、早くから学び身を守る術に、逆に魔力の低い下町の人々にとっては、成人し、独り立ちに向けて属性を知り、少ない魔力でも仕事や普段の生活に取り入れられたらラッキーくらいの気持ちらしい。



 ちなみに壇上の水晶は…水晶というより実際は魔石みたいなもので、それに触れると属性の色に輝く。


 ちなみに今の彼は薄緑色に光り、教師曰く風属性だとのことだ。


 魔力とやらは、身体の中に基本はあるが、勿論その量は様々で、濃く光れば魔力が多く、薄ければ少ないと分かりやすいシステム。


 ちなみに民間では赤か青く光れば家が安泰だと言われてる。


 まぁ火を起こすのはやっぱ大変で、火種があればラッキー!水がチョロチョロでも出たら、たとえ遭難しても早々死ななくて済むし!みたいなことみたい。うん、わかりみが深い。


 薄緑色の彼も、壇上から降りながらちょっぴり凹んでるっぽい。そして通りすがりの席の子が、苦笑いしながら、肩ポンしてる。いいなぁアレ!アレやりたい!!


 また前を向けば、壇上の少し後ろに控えていた次の子が呼ばれ石にふれると、緑と割合的には少しだけど桃色に光る。


「ふむ、珍しい。風と花だな」


 花魔法は、緑を育てるのに適してる。育てながら水と共に魔力を流せば、立派な野菜や植木が出来るそうだ。

 庭師や農家さんお花屋さんには大歓迎の属性だが、彼女は貴族。


 何事もなく優雅に微笑んでるつもりでしょうけど、微妙に引きつっている。


 貴族でも家庭菜園したらいいじゃない!家で取れたお野菜美味しいよっ!ファイトォ!と、心でエールを送る。



「次はアベイルくん」

「はい」



 躊躇うことなく触れた石は、深く濃い青。



「水属性ですな。ふむ、あまり見たことのない濃さです」とお爺ちゃん先生が言えば、「ありがとうございました」と、そそくさと席に戻る。髪型といい、目立つのが嫌なのかしら?



 その時、近くのクラスから『ワッッッ』と大きな声が上がった。



「光だ!!光属性だ!!!」



 その声を聞いて、ウチのクラスもにわかに騒めくが、



「次ユリエルくん」と、わたしの名前が呼ばれれば、シン…と静かになった。



 「はい」と美しい姿勢で席を立ち、教壇に向かう途中に今更ながらに、クラスのみんな呼ばれる前に壇上へ行ってたし、つまりこれは今年入学した人が席順で呼ばれてたんだ!!察っせないよ!察せなかったよ先生!言って下さいっ!!……と、心で涙し、優雅に水晶の前に立つ。




 廊下の方からは相変わらず、

「すげぇ、こんな光見た事ねぇよ…!」

「もしかしてロイ王子超えてるのでは⁉︎」

 とか色々聞こえて、みんな少しソワソワしてる。


 いいのよ!わたしを気にせず見に行って!!きっと美少女ヒロイン現る☆の回だから!!


 こんな真っ暗の石を見せて、恐怖に慄くクラスメイトなんてわたしも見たくないのよっ!!



 いくら心で叫んでも、「はいユリエルくん、触って」と、調べる最終生徒のわたしに、お爺ちゃん先生はお役所仕事よろしく無慈悲に告げる。



「わかりました」


 覚悟を決め、ちゃちゃっと済ませて終わらせようと、両手で触れた瞬間、みんなが息を呑むのがわかった。




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『悪役令嬢なんてもうちょい若い子に任せたい』

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どうかご自宅にお迎えいただけると嬉しいです!
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