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【書籍発売中】悪役令嬢なんてもうちょい若い子に任せたい  作者: そらいろさとり
高等部 一年生編

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JKライフの華といえばアレよね!!?


「ふふふ〜ん♪ふふふ〜ん♪」


「姉さんご機嫌だね」


 帰宅途中の馬車の中、思わず漏れた鼻歌に何故かちょっと不機嫌なシルクの声。

 前世で思春期だった息子が「お母さん、音程ズレてて聴いててイラッとする」なんて言われた事を思い出す。プロじゃないし鼻歌ぐらいいいじゃないっ!とは思ったけれど、思春期には何が導火線に火を付けるかわからんので、ハイハイ返事をして、暫く鼻歌我慢したのを思い出した。


「ごめんね。もう静かにしているわ」


「いや、鼻歌の問題じゃなくて…」


「あっ!シルク見て!!屋台よ?美味しそうなものが売ってるわ!わたし行った事ないのよ!シルクはある?」


「もう次の話題に…僕は一応あるよ。養子に入る前と、中等部の時に付き合いで2、3回ほどだけだけどね?」


「ズ…ズルイわ…!わたしの知らない事、弟が先越すなんてっ!ズルイわズルイわっ!!」


「そんな…姉さんずっと忙しかったから、それに姉さんの立場でこんなとこでフラフラ買い物する訳にはいかないだろ?」


「わかってるわ!…わかってるのだけど…でも、羨ましいと思う気持ちは仕方ないじゃない…」


 馬車の窓に手を添えて、これから何度も通り過ぎ、見るであろう景色を眺める。


 『ねぇねぇ綿菓子買って!?』『お母さん!私りんご飴!』ここはお祭りのソレとは違うけど、少しずつ薄れゆく記憶を懐かしむ。


「…いつか、行こうね。約束するよ」


「シルク?」


「姉さんがずっと頑張ってたの、きっと僕が一番知ってるから…姉さんがそんなに行ってみたいなら、なんとか出来る様に頑張るよ」


「ふふっ!期待して待ってるわ!」


「うん。」


「でも本当は、お友達とワイワイ学校帰りに寄ってみたいのよ!」


「…は?!」


「憧れるじゃない?!友達とあっちのお店が美味しかったとか、新しいお店が出来てたから一緒に行ってみよう!とか!!」


 ウキウキとした前世の記憶も重なり外を見ながら喋っていると、何故か馬車の温度が下がったような?エアコン機能なんて無いはずなのに?


「それは…友達と?」


「マナーには反するけど、違うの頼んで『そっちの方と一口ずつ交換ね』なんてしちゃうのよ〜!ねっ!ふふっ楽しそうでしょう?」


「そ…それは僕とは出来ないかな…?」


「だってシルクはマナーに従順だし、わたしがそんな事してたら注意するでしょ?」


「それは…まぁ…」


 窓の外には子供達が遊ぶ姿も見えて、この領地の良さが見てとれる。

 馬車での外出もここ数年数える程度だったから、外を見てるだけでも楽しいし、今の王、そしてお父様達の努力がこの国を作っていると思えば、この景色を誇りに思えてくる。


「でもだからって姉さん… !」


「早く作りたいなー!そんな事出来る女の子のお友達!!」


 車窓から手を繋いだ小さな女の子2人が楽しそうに笑いながら遊んでいた。

 憧れはアレよ!!


『ユーリちゃん!ユーリちゃんにはこの髪留めが似合うと思う!!』

『わたくしはこっちの方がいいと思うわ』

『え〜?そうかなぁ?絶対こっち〜!』

『そんなに言うなら合わせてみようかしら?』


 ………?


 めっちゃ楽しそうに思い浮かべているのに、何故か相手は某犯人みたいなシルエット。

 ここにきて同い年くらいの同性との関わりがほぼほぼ無かったのがわるいのか、妄想上でも上手く想像が出来ない。


 う〜んう〜んと唸っていると「そっか、女の子とか」何か呟き、ホッと息を吐くのが聞こえた。


「シルク?」


「ううん、なんでも無いよ?姉さん、僕がお父様を説得してみるから近々一緒に行こう?下見を兼ねて」


「…えぇ!えぇ!!嬉しいですわ!一緒に行きましょうね!」


「姉さんは僕とでいい?」


「勿論よ!!楽しみにしてるわ!!」


 しかも下見!!なんて素敵な響きかしら?

 そうよね。いつかお友達と行くのに、知らぬ存ぜぬじゃ恥ずかしいものね!!


 懲りずに鼻歌再開して、まだ見ぬその日を楽しみに勉学に勤しめそうですわ!!



読んで頂き有難う御座います。

ブクマ評価物凄く嬉しいです!


明日は午前に番外編のシルク目線の過去話。

あと午後に本編更新いたします。

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『悪役令嬢なんてもうちょい若い子に任せたい』

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