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【書籍発売中】悪役令嬢なんてもうちょい若い子に任せたい  作者: そらいろさとり
高等部 一年生編

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フラグとやらを折りたくても、フラグって何?旗?右上げて〜左下げない?


「誠に申し訳ございません!」


「いえ! 何度も言いますが、ボクが教室に飛び込んだのが悪いので! ユリエル様は謝らないで下さい!!」


 あの時の『パリン』は、アベイル様が勢いよくシルクの背中へ突っ込んだときに、眼鏡のレンズが外れ落ち、それを運悪くわたしが踏んで割ってしまった音だった。


 しかも今日の新入生代表として挨拶を読まれる予定だと聞いて、慌てて職員の方に代用品を探してもらったものの、かなりの近眼だった為合うものが見つからず、4人で空き教室に入り、ひとまず自己紹介をして…ロイ様の名前を聞いて、アベイル様は一旦青ざめたものの、学校では身分なんて関係ないと話がつき、改めてどうしたもんかと話し合っていた。



「……それでもこれから入学式でご挨拶をされるのに、眼鏡が無いと折角お書きになった式辞がお読みになれないでしょう?」


「そうなんですよね。スペアが無いのでこればかりは……困りましたね」


 うーん……と悩んでいるとロイ様が、


「提案なのだが……壇上でまず事情を説明して、誰かに代わりに読んでもらったらどうだ?」


「なるほど! そのままアベイルさんにも隣に居て貰ったら、体裁も保てますしね!! しかし僕らは中等部からですし…そんな都合よく他の新入生なんて……」


 そこで全員の視線がわたしに注がれる。


「わ……わたくしは無理ですわよ!?そんな舞台に上がってなんて……うんっ!無理ですわ!」


「で……ですよね!そこまでして頂くのは申し訳ないです!ボクが……なんとか……こう数センチの距離まで近づけたら、なんとか読めますし!!」


「いや……それは流石に……」


「ユーリ、未来で王妃になれば、人前に立つ事も多々あるだろうし、練習と思えばどうだ?」


「王妃云々はさておいて、姉さん無理にとは言わないけど、こうなった一因は僕らにもある訳だし、どうかな?」


「王妃云々って、お前……」

「なにか?」


 なんかバチバチした音もする気もするけど、そんなのどうでもよくって!くぅぅ〜っ!ロイ様もそのうち犯人なあの子にきっと王妃あげちゃうくせに、こんな時ばっかりっっ!!まだ登場してないらしいし、仕方ないけど!!


 うぅぅ……と額に手を当てて、2人を見るオロオロするアベイル様を横目で見ると、青目青頭眼鏡アベイル……と、頭の中でピースがパチパチっとハマる。




アベイル様が、3人目の攻略対象者だ!!!




 しかも瓶底みたいな眼鏡が外れた今、ただのイケメン!!猫背で気がつかなかったけど、ロイ様程じゃないにしろ、シルクと変わらない高身長。少し長い野暮ったい髪型に隠れた優しい目元に泣き黒子が一つ、そして鼻筋はスラリとして高い。


 てか瓶底眼鏡外れたら( 3_3)顔じゃないんかーいっ!



「やりますわ…!わたくし、やります!!!」



 突然燃え上がるわたしに、3人は驚いた様にこちらを見る。


 そうよ!出会ってしまったなら仕方ない!!攻略対象者にせめて少しでも恩を売って、来たる断罪イベントの時に少しでも刑を軽くして貰いたい!!あわよくば味方になって貰いたい!!

 その為に、わたくし頑張りますわっっ!!



「アベイル様、挨拶を書いた用紙はございますの?」


「え!? あっ!はい!荷物の中に……あっ!これです!!」


「わたくし今から練習しますので、ロイ様とシルクは先生方にこの件を伝えて下さいますか? アベイル様は読み方の間違いが無いか、わたくしと一緒に確認して下さいます?」


「それは構わないが、ユーリが男と2人で居るのは……」


「勿論扉は開けておきますわ!入学式まであと15分もないんですのよ!?皆さま、お急ぎになって!」



 ロイ様の言葉を遮るように返事をし、勢いに任せてパンパンと手を叩くとみんなが慌てて動き出す。


 わたしも必死に挨拶を読み上げ、間違いや発音がおかしいところが無いか、時間の許す限り確認をする。


 入学デビューが思いもよらないことになったけど、なんならこれで顔売って、友達100人出来たらいいな!!と、ポジティブシンキングで頑張ろう!!





ブクマ、評価ありがとうございます。

読んで頂けて嬉しいです!


明日は8時、20時の2回更新です。

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⭐︎書籍情報です⭐︎
こちらの作品が書籍化致します!

仁藤先生の美麗な表紙が目印の、2025年8月発売
『悪役令嬢なんてもうちょい若い子に任せたい』

仁藤先生の素敵な挿絵が入ってます!
どうかご自宅にお迎えいただけると嬉しいです!
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