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41話

「勝者、サキ&優斗ペア!!!!!」


 と期待していたのだが、本当に何事もなく私たちの勝利で終わった。


 やたらと相手の特定の動きを阻害するメタ系のカードが多いデッキだったが、私たちのデッキには一切刺さるものが無かったのでただの効果なしのバニラカードデッキと化していた。


 これなら初期配布の速攻デッキで挑んできた方が勝率が高かった気がする。


「やっぱりそうなるわよね……」


「想定していたデッキと全然違う……」


「と、とりあえずインタビューしていきましょうか——」


 どうやら二人の話によると、私がサキを全力で支援するタイプのデッキを使ってくると踏んでいたようで、それに100%勝てるデッキを用意していたらしい。


 なるほどな。言われてみると相手が相手の相方に向けて能力を発動した際に無料で召喚し、効果を無効にしたり奪ったりするクリーチャーや、クリーチャー以外のコストを重くするカードばかりが入っていたな。


 これは完全にサキのお陰だな。サキが私に叱ってくれなければ二人のデッキに負けて引退を決意しなければならなかった。


 配信が終わった後に全力でお礼をしないとな。何が良いだろうか。


 毎回毎回配信を伸ばす協力をするってのも芸が無いから普通にプレゼント系が良いだろうな。


 どんなものが良いのか分からないからとりあえず時間があるときに次葉に相談するか。


 何はともあれ、次は決勝戦だ。しっかりと勝って優勝賞品を手に入れないとな。



『遂にやってまいりました決勝戦!!!サキ&優斗ペアVSミラ&月斗ペア!!!両者共に一切の隙を見せず、圧倒的な実力で勝ち上がってきた真の強者です!!この勝者が配信者界最強を決めると言っても過言ではないでしょう!!!』


 やたらハイテンションな紹介をする山本の声に合わせ、俺たちは入場した。


 すると観客は居ない筈なのだが、大人数による拍手と歓声が聞こえてきた。


 スタッフの方を見ても誰一人拍手をしている様子も声をあげている様子も無かったので効果音を仕込んでいたのだろう。


 リハーサルでは一切そんな効果音が流れていなかったのを見ると、配信の盛り上がりを見たスタッフが慌てて準備したのだろうか。


 まあそこら辺はスタッフにしか分からない。とりあえず私に出来ることは目の前の相手を倒して優勝することだけだ。


 対戦相手のミラと月斗は確か別のカードゲームの元競技勢らしい。今はそこまで真剣に取り組んでいないとのことだが、今でも大会に参加したら確実に入賞するくらいには強いとのこと。


 そんな奴らが新しいカードゲームに真剣に取り組んだ結果、ちゃんと勝って決勝戦にやってきたらしい。


『圧倒的強者の二組に対し、意気込みなどは必要ないでしょう。早速試合を始めます。それでは掛け声をお願いします!!』


「「「「モンスター、解放!!!」」」」


 そして早速ゲームが始まった。


 運よくターンは俺たちから始まった。


 というわけでサキはこれまで同様にアタッカーを並べて攻め立てる準備をしていた。


 しかし、


「残念ながらサキちゃんのデッキとは相性が良いんだよね。『守護天子レディアス』を召喚」


「俺は『光陣の使者サルトル』を召喚。効果でブロッカーのパワーを3000上昇するよ」


 サキのデッキと二人のデッキは非常に相性が悪かった。


 どうやら二人は相手の攻撃を封殺するブロッカー主体のデッキを持ってきたらしい。


「なるほどな。そう来たか」


「まあね。現状のカードプールだとこれくらいのパワーのクリーチャーを全体破壊するカードとかブロッカー無視できるカードは無いからね。耐え抜いてブリリアントソードで勝ちだよ。相手がコントロールだろうが速攻だろうが関係ない。これが結論だよ」


 私が感心していると、ミラがデッキコンセプトを説明してきた。勝てると高を括っているというよりは私ならデッキを見抜いているという信頼による発言だろう。


 確かに私はそのデッキを知っている。だが、


「手札補充が薄いからコントロールには弱いと聞いたが、コントロールでも行けるのか」


 一対一交換しかできなかったとしても手札補充速度に分があるコントロールには勝てないと思っていたのだが、違うのか。


「うん。そこをしっかり解決したからこそこのデッキなんだよ」


「じゃなきゃ二人とも同じデッキを使うなんてことはしないよ」


「流石だな。確かに一筋縄ではいかないな」


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