表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Vivid Urona  作者: ディライト
プロローグ
1/8

プロローグ

ディライトと申します!

こちらの作品は、なろうユーザーのシュウさんと共に企画した『うろな町』企画の作品となります。

色々な書き手様が同じ世界で登場人物たちを絡めながら交流する、一風変わった小説となっております。

この小説を読んで興味が湧いた方は

http://kyodo765.jimdo.com/

までどうぞ!

 突然だが俺は今、猛烈に溺れていた。

 といっても女に溺れている訳でも、酒に溺れているわけでもない。女に溺れられるなら溺れてみたいが、それほど自分の容姿に自信があるわけでもないし、そうも言ってられる状況じゃない。

 本当にそのままの意味で、川でひたすらもがいているのだ。

「もががもが!」

 身体には衣服が水分を吸って張り付き、背中には特大の重たいリュックサックが掛かっている。しかも服のどこかにリュックサックが引っかかって脱げないのだ。

 これは本当にやばい。水も随分飲んでしまったし、息もそろそろ限界だ。

 やはり慣れないことはするもんじゃない――――


 ――――「ここが『うろな町』……か」

 人の往来が盛んな駅構内を抜けると、目の前には賑やかな街並みが広がった。

 駅前はバス乗り場やタクシーを待つ人々で溢れ、ロータリーが設置された中央は噴水を筆頭にベンチなどを携えた広場のようになっている。

 まず感じた印象は、ここは都会だということだった。

 俺は日比野正宗(ひびのまさむね)。十六歳。普通なら高校二年生であるが、訳あって中退している。

 ただ毎日決められたことに忠実に従って生きる毎日に飽き飽きしていた。退屈な学校、つまらないクラスメート、口うるさい親。何かに縛られることにはもううんざりしていた。

 そこで俺は一念発起して、通っていた高校を勝手に中退。親とは大喧嘩の末、「二度と我が家の敷居を跨ぐな」とまるでドラマのような一言を最後に、俺は十六年腰を据えていた家を出た。若気の至りってやつだ。

 つい最近、雑誌で見たのだ。

『うろな町にはドラマがある』

 この新町長だったかの言葉がどこか頭の中に残っていて、俺は導かれるようにうろな町を目指した。

 仕事もなければ寝る場所もない。この先どうなるかもわからない。唯一あるのは使い道がなく貯めに貯めていたお金くらいだ。けれど、この町でなら、俺の無色透明な毎日にも彩りをもたらしてくれる。

 なぜだかそんな気がしたんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ