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6 シェリルの攻撃

シェリルが馬車へとやってくる。

私は咄嗟に荷物の裏へと隠れた。見つかったらきっと殺されてしまう。目的はわからないけど、あの言葉が本当ならハイドとシェリルは敵だ。


足音が近づいてくる。そして、馬車後方の幌がめくられる音がした。


「いない……っ!?」


シェリルが武器を構える音がする。どうやら警戒度を上げたようだ。私が聞き耳を立てていたことに気づいたのだろう。

このままだと見つかるのは時間の問題だ。今のところ馬車の出口にシェリルが立ちふさがっている。御者席側から出ることは可能だが、それには荷物の裏から一旦出なければならない。そんなことをすれば、一発で見つかってしまう。


つまり、八方塞がりだ。私は隠れ続けることを選択した。どうか、既に脱出して逃げたものと判断してくれないかな。


「植物魔法、サーチプラント」


シェリルが何かを発動させた!?

それと同時に馬車が軽く揺れる。まるで何かに絡みつかれるような揺れだ。

そしてそれは直ぐに何が原因なのか判明する。ツタだ。


馬車を覆うように大量のツタが多い茂っていた。そしてそのツタはまるで手を伸ばすかのようにどんどんと広がっていく。おそらく、馬車の外にまでも影響しているのだろう。

脈打つように広がるその光景は、不気味な様相を呈していた。


「いた」


シェリルがそうつぶやく。すると周りを囲んでいたツタが一気に私に絡みついてきた。

それらは私の手足を強く縛り拘束する。


「痛いっ!」


完全に逃げ場がない。これはやばい!

シェリルはコツコツと私の前まで歩いてくる。そしてその表情を悲しいものに変える。


「ごめんね、本当はこんなことしたくないの。でもハイド様が仰ったことだから」

「なんで、こんなことを……」

「ごめんね。たとえ今から死ぬ人だとしてもそれは教えられない。本当だったら、貴方は巻き込まれなかったのにね。乗った馬車が悪かった」


私から少し視線を逸らしたシェリルは、馬車の向こうにいるだろうハイドの様子を確認した。どうやらあちらもアンバーと対峙しているらしい。テラスとアダマンが加勢している音がしないのを見ると、二人が既に活動不能であることが察せられた。やはり、アジリスの毒をまともに受けてしまったのだろう。


視線を戻したシェリルは私に木の枝を向けた。おそらくシェリルの魔法の威力を上げるための媒介用の杖なのだろう。つまり、私への攻撃の予備動作。


「こんな幼い子供でも、殺さなければいけないだなんてね」

「なら、見逃してくれないですか?」

「ダメ。それはダメなの。殺せと命令されたから」

「……」


交渉もダメ。完全に私を殺す気だ。

シェリルの持つ木の枝の先端に光が宿る。

私は、シェリルのそのひどく悲しそうなその顔を強く睨みつけた。






「おい、シェリル。そっちの首尾はどうだ」

「はい、ちゃんと拘束して連れてきました」


私は、シェリルに簀巻きにされてハイドの前に連れてこられていた。


「おいおい、俺は殺しておけと伝えたはずだぞ?」

「すみません。ですが、アンバーたちが反撃する可能性を考えて先に援護の方をしようと戻ってきました」

「ふん、そういうことなら杞憂だな。ほれ」


ハイドは地面に倒れ伏したアンバーを足で蹴りつける。蹴られたアンバーは苦悶の表情をあげて苦しんでいた。


「!!!!」


口まで塞がれた私は、叫ぶことすらできなかった。それを見たハイドはニヤニヤと笑う。あの温厚なハイドとは思えない表情だ。きっと今まではその本性を狡猾に隠し通してきたのだろう。あの邪悪な笑みは、本質から腐っていないとできないものだ。


「そういえば、フラムちゃんだっけか。アンバーに言ってたよなあ。将来はアンバーみたいな冒険者になりたいってさー。さっそくなれるじゃねえか。今からお前もコイツと同じ道を辿れるぞお?」


更に足でアンバーを踏みつける。ミシミシと嫌な音が響いた。その足元から惨たらしい呻き声が漏れ出る。私はなんて無力なんだ。この状況を打破するに、圧倒的力が足りない。


「いやあ、やっぱり楽しいよなあこれ。パーティに潜入して、油断したところで後ろからグサー!! そん時のそいつの顔を見るのが一番楽しいんだよなあ。そういえばシェリルの元のパーティっていくつ前のやつだっけか? あんときのお前の顔も相当面白かったよなあ。助けてください! 命だけはア。って僕に懇願してんの。面白そうだったから生かしてやったけど、正解だったなあ。簡単に不意を付けるから殺しやすいのなんの」


ハイドは憎たらしい口でべらべらと喋る。いい加減その汚い足をどけろよ!

その言葉が届いたのか、ただ単に飽きたのか知らないが、ハイドは足をどけて私に歩み寄ってきた。

そして私の顎を持ち上げる。


「いい目だ。初めに見た時から思ってたんだ。こいつはいい絶望の顔が見れるってなあ。案の定、最高の顔だよ。君ぃ」


私は「淫魔魔法」の念動を発動しようとする。しかし、その力はハイドに届く前に消失する。


「ああ、今何かしようとしたか? 無駄無駄。僕はそういうの無効化出来ちまうんだよ。直接の魔法とかスキルとかね」


くそ、それじゃ私の持つスキルのほとんどが効かないじゃないか。例えシェリルの拘束が解けたとしても私じゃ対抗する手段がない。


「僕はね、選ばれたんだ。教祖だかなんだか知らないけどさ、この世界に転生させてくれて感謝してるよ。『屈服の罪人』。僕に対してすべての物は屈服せざるを得なくなる。たとえそれが魔法やスキルだとしてもね。くふふふふ。本当に最高だよ、この力は」


ハイドは、突然その胸をはだける。そこには禍々しく広がる赤い痣があった。こいつも……罪人だったのか。そしてまた聞く前世の人間。ハイドという名前は偽名だったのだろう。


「おい、シェリル。そいつの口の封を解いてやれ。アンバーだけでも楽しかったが、せっかく生きて連れてきたんだ。そいつの言葉から紡がれる怨嗟の声も聞いてやりたい」


その言葉通り私の口の拘束が解ける。開口早々私はこう言い放った。


「油断したな、バーカ」


ここから私の怒涛の反撃が始まった。

はい、あれからたった一日で総合評価80から100になっちゃいました。

なんというか目標にしてたわりにあっさりとし過ぎてて、ただいまぽかんとしております。

一先ず、私三文小唄の一区切りですね。いまだブクマ100未満の底辺作家ではありますが、その辺の脱却を目指します。

そしてそこに到達するまではこのあとがき欄もメタ的な内容を控えようかなとも思います。あとがき含め作品だと思っておりますので!

まだまだ頑張りますのでどうぞ応援していただけますと幸いです。

Twitterもやってますので、よかったらフォローお願いします!

https://twitter.com/kouta_mifumi(三文小唄)

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