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第33話

 前回のように、スタミナ勝負で勝つつもりはない。

 今回の俺は、サムライオークを力でねじ伏せるつもりだった。


 だからこそ、短期決戦だ。


 サムライオークが刀を振りぬいてきた。その一撃に俺は剣を合わせる。

 憑霊を切り替える。【サムライオーク】から【ウォリアオーク】へと。

 

 剣を扱うだけならば、【ウォリアオーク】の方が強い。

 サムライオークの刀が四方から襲い掛かってくる。


 ……速い!

 以前はその斬撃の嵐に、何とか合わせるのが精一杯だった。正直、【再生の勇者】がなければ対応することも出来なかっただろう。


 だが、今はまるで違った。レベルがあがり、能力が向上したおかげだろうか。

 振りぬかれた連撃をウォリアソードで受け流し、そしてその懐へと迫る――!


 俺の突きだした剣が、サムライオークの胸元を掠める。

 寸前でサムライオークが横に体を流し、俺の攻撃をかわした。

 ……惜しい。


 サムライオークは地面を蹴り、俺から距離をとった。

 俺も軽く深呼吸をし、剣を握りなおす。地面と水平になるように剣を構え、大地を蹴りつける。


 今度はこちらから仕掛ける。サムライオークが受けに回り、俺の一撃を跳んでかわした。

 すぐに剣を持ち直す。下から切り上げるようにしてサムライオークを追う。

 剣がサムライオークの頬を掠めた。サムライオークは顔を顰めながら、その剛腕を振りぬいてきた。

 

 ある程度のダメージを覚悟した上での攻撃。

 それは俺が【再生の勇者】を利用してよく行うものだった。

 そうしなければ、相手の不意をつけないからだ。


 つまり、サムライオークはそんな無謀な攻撃をするしかなかったということだった。

 俺はサムライオークの剣を寸前でかわした。

 そして、回避の勢いをそのまま剣へと乗せ、サムライオークの首へと振りぬいた。


「が……あ……」


 俺の剣を、サムライオークはかわせない。

 その首へと深々と剣は突き刺さり、俺がぐっと力を込めると首が落ちた。

 肉を断ち切り、俺は膝から崩れていったサムライオークをじっと見た。


 サムライオークの目もまた、こちらを見ていた。

 その目がすっと閉じたところで、俺は息を吐いた。


「……よし、勝ったぁぁ!」


 以前と違い、まぎれもない力の応酬によっての勝利。

 以前、サムライオークと戦ったときよりも、俺は明らかに成長している。


 これまで、俺が冒険者として強くなるために行ってきたことが実を結んだというのが何よりも嬉しかった。

 宝箱が出現する。奥へと向かって歩いていき、俺はその宝箱へと手を触れた。


 瞬間、強い光が溢れた。その光から目を守るように腕で覆う。

 光が治まったあと、俺が目にしたのは一振りの刀だった。


「……これは、サムライオークの刀か?」


 手に持ったが、恐らくこれはサムライオークの刀で間違いないだろう。

 サムライオークが使っていたときと比較すると一回りほど小さいものだ。

 ……早速使用してみたかったが、呪われていたら困る。


「この刀……強いのか?」


 装備は三つまで可能なので、もちろん呪われていなければこれも俺の武器として使うつもりだ。

 何より、刀だし、【サムライオーク】の恩恵も得られるかもしれないからな。

 ……というか、サムライオークがユニークモンスターで、さらにそのドロップの中でもレア扱いなんだよな?


 この刀を手に入れるのは非常に苦労するだろう。もっといえば、これを強化してい

こうとしたら途方もない。


 もしも強化するのなら、このオーク迷宮の周回ではなく別の方法を見つけたほうがいいだろう。


 世の中には、どの武器にも使えるという万能の結晶というのもあるが、やはり取引される場合はかなり高額だからな。


 とりあえずは持って帰って、鑑定してもらわないとな。

 俺は刀を握りしめてから、奥の魔法陣へと向かう。

 今日はもうレベル上げはいいかな。


 とりあえず、この刀の鑑定と、マジックコーティングを行ってもらおう。

 ……いつもよりも早い時間だし、今ならまだルーナがアルバイトをしているはずだ。

 夕方はどんな仕事をしているのか、少し様子を見に行くのも悪くないだろう。


 迷宮を出た俺は、差し込んできた夕陽に目を細める。

 ……強くなっている。


 口元が緩む。

 俺は改めて刀を握りしめてから、街へと戻っていた。

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