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鬼教官(真)

「あ、でも出発の前に、トーヤさんはこのままになさるのですか・・・?」


そういえば、治癒の途中で倒れたままだ・・・寝台にでも移してやらないとな。


「えエ、どうせ10日程度の道のりですヨ。時は止まってるので空間を作って放り込むわけにもいきませんしネ。」


「せめて寝台をご用意したりしたほうが・・・」


心底わからないといった風にコームが、「何故でス?」と聞いて来て、レアは返す言葉を失った。

精霊ってのは皆こうなんだろうか。


「傷だらけで倒れたまま放置されてたのは、トーヤ本人にとってもいい思いはしないんじゃないか。俺達も気になるし。せめて何か布で覆うとか。」


「たかだか10日程度で・・・これだから生命種ハ・・・」とボヤきながらも指を鳴らす。召喚?製造だろうか?精霊種は魔力の流れが違いすぎて解析が難しいな。険しい顔をしつつも、トーヤの隣に豪奢な寝台を出してくれた。


「まア、手で持てば動かすくらいはできますヨ。あとは好きになさイ。さア、出発しますヨ。」


「随伴艦は4隻ですカ、もの足りませんネ。」と呟いているコームを横目に、レアと二人でトーヤを寝台に乗せる。

・・・意外と重いな。布団を掛けてやると、痛々しい傷が隠れ、ただ眠っているだけのように見える。

次があるかはわからないが、俺が強くならないといけないだろう。

その為にも、領地に入ったら戦闘の訓練を頼まなければ。


そういえば、道のりが増えていたのは何故だ、早く戻ったほうがいいと思うんだが。


「チルの話しだと後5日程度だったと記憶しているんだが、何故10日に増えたのか教えてくれ。」


「・・・存外細かいのですネ。まア、いいでしょウ。話は簡単ですヨ、トーヤ様にかけられた停滞の期限が10日強あるからでス。それならバ、道すがら領地を巡リ、領民に次期領主の偉大さを知らしめたほうがよろしイ。私が領地を離れた分の出費ハ、せめて将来への投資となるよう動かねばならないのですヨ。」


それがどう投資になるのか、領地経営の話はわからんが、レアは何かしら理解したようで、尊敬の眼差しでコームを見ていた。


「さテ、その為には少々演出ガ・・・あア、ハーキル様の呼んでいた治安維持部隊がいましたカ。数は21ト、悪くないですネ。」


通信をかけたのだろう、軍服に身を包んだ壮年の男の画像が展開された。かと思うと、声を発する前に消えた。


いや、消えたのではない、転移させられたのだ。コームの目の前に居る。

何か声を出そうとひらいた口は、そのまま固まってしまった。


「こんにちワ、司令官殿。私はわかりますネ?」


「はっ!家令閣下!お初にお目にかかります!」


家令、閣下?この領地での家令っていうのはそんなに高い役職なのか。

まあ、精霊種がわざわざやってるくらいだしなあ。そう考えると無駄じゃないか。

時を操れるほどの大精霊なんだから、精霊領を治めてもよさそうなものだが。


「よろしイ。次期当主トーヤ様ガ、国賊リンドリーネを撃破しましタ。凱旋の警護をハーキル様の代行として命じまス。」


「ハッ!それでは、リンドリーネとの遅滞戦闘命令を破棄し、警護任務につきます。・・・懸念を申し上げても?」


しかし、いきなり強制で転移させられたわりに落ち着いている。軍人は精神的にも強いものだな。


「許可しまス。」


「我々、野戦軍でありまして・・・高貴な方の警護の任にとなると不得手なのですが、宜しいのでしょうか。」


「構いませんヨ、直接の護衛は私が付きまス。ありえませんガ、万一の艦隊戦にあなた方は備えなさイ。」


ありえないのに備える・・・?何故だ。いや、もしかしてただの数合わせ・・・?


「了解しまし・・・」


消えた。コームの転移で戻されたのだろう。勝手な奴だな。


「あア、そうでしタ。レア、あなたにも一応妖精を与えまス。」


妖精が安すぎる・・・出費を気にしてた割に、こんなに気軽に渡していいのだろうか。


「わ、私などにそんな!い、いただくわけには!」


「これは命令も兼ねまス。妖精の力を掌握シ、より強い力をもちなさイ。・・・二度と主を単独で戦わせてはなりませン。」


・・・痛いところを突かれる。レアもこれには言葉がないようだ。


「あなたにはそうですねエ。アム、きなさイ。」


「ハッ!閣下!ご命令を!」


軍服着た妖精なんかいるんだな。

・・・こいつはなんで妖精を複数体もっているんだ。


「お前をレアに紐付けまス。仕える主に釣り合う配下となるよウ。鍛錬なさイ。」


「ハッ!畏まりました!レア様!宜しくお願い致します!」


「・・・あっ、は、はい。よ、よろしくおねがいいたします。」


困惑してるな、当然だが。

・・・まあ、良い方に捉えよう。有り難いじゃないか、俺も妹も妖精を付けて貰えるなら、これからの生活はかなり約束され・・・なんだこの悪寒は。指を鳴らす音がした。空間が黒く染まる。


「さテ、それでは二人には訓練を施しましょウ。リフ、アム、二人に訓練用で八式強化をかけなさイ。」


「承知しました。」「了解です!」元気な声とともに、俺と妹が一瞬淡く光る。何の強化だ・・・?


「これデ、疲労感と睡眠欲求は遮断しましタ。」


悪寒が強くなる。

ニタリと悪魔が笑う。


訓練を受けられるなら願ったり叶ったりだ。そう考えているのだが、悪寒が消えない。


()()()()()()ようにして差し上げましょウ。」



地獄が始まった。

いつか終わるいつか終わると自分に言い聞かせて、ランキング外に下がる恐怖に備えているんですが、お陰様で今日もデイリー1位を維持できています。評価、ブクマいただき有難うございます。

毎回こればっかりで申し訳ない限りなんですが、お礼の投稿です。


何か他にお礼になる事ありますかねえ・・・

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