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7

「警戒されてるな」



目の前に立つダニエルは呆れた顔をしながらそう言った。



「警戒?何故警戒する必要がある」



若干眉間に皺を寄せながら納得がいかないとばかりに吐き捨てると



「いやいやいや、急に攻めすぎだろ?

少しずつ距離を縮めてくなら分かるけどさ。

膝の上って何だよ。

この前の餌付けも俺に言わせりゃギリアウトだからな?

初めて言葉を交わしたその日に餌付けって……」



ふむ、どうやら餌付けをするのも、膝に乗せるのもダメだったらしい。



「で、王子様はお姫様と仲直りしたいと仰るんで?」


「別に喧嘩などしていない」


「けど警戒はされてるよね」


「……」



ダニエルのくせに、と悔しく思うのだが、女相手の事となるとやはりダニエルの方が知識も経験も上である。

私がその様な事を話すのも相談するのもダニエルしかいない訳で。

……結果、黙るしかないのである。



「ま、暫くは二人きりになるのは避けて、美味しいお菓子で機嫌なおしてもらうしかないんじゃないんですかね」



ダニエルのアドバイスもあり、暫くはダニエルを含めた三人で、珍しい菓子を前に時々お茶する様になった。







ある日の近衛騎士団の訓練場での事。

訓練が終わり休憩中に新人騎士達が何やら楽しそうに話しているのを耳にした。

直ぐに立ち去ろうとしたのだが、気になるキーワードを耳にし、つい聞き耳を立ててしまった。



「先日彼女から家紋の刺繍をしたハンカチをもらってな。それで、御礼をしたいと思うのだが、何をプレゼントして良いのか迷ってしまって……」


「そうだな、髪飾りなどはどうだ?彼女の瞳の色に合わせた石のついた物とか」


「ブローチなんかもいいのではないか?」


「確か本が好きだと言っていたな。ブックカバーなんかでも良いのではないか?」



……ふむ、御礼のプレゼントか。

そういえば、リリアーナから貰った髪紐の礼をしていなかった。

私も彼女に何かプレゼントした方が良いのだろうか。

やはりこう言うことはダニエルに聞くのがいいだろう。と言うことで、



「リリアーナに髪紐の礼をしようと思うのだが、何を選べば良いのか分からぬ。

ダニー、何か良い案は無いか?」



仕事中ではあるが、忘れる前に聞いておかねばと口にしてみたのだが。



「お礼を思い付いたのはウィルにしちゃ上出来だけどな?そんな事より今は仕事しろ」


「仕事はしているだろう」



何故か呆れた様な目をしてダニエルが口を開きかけた時、



「それなら彼女が行きたい店に連れて行って、気に入った物をプレゼントさせて欲しいとでも言えばいいんじゃねえの?

デートも出来て一石二鳥だろ?」



近衛騎士団一の問題児が話に入ってきた。

無類の女好きと評判の男だ。

普段はその手の話は相手にしないのだが、確かに本人に選んで貰えば間違いないだろう。

この男の意見に一理ある、と。




「採用……」


「するな」



ダニエルに即否定された。

何故だ⁈

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