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なんでこうなるの?

エビの元ネタはこちら。


古川アモロ様:著

http://book1.adouzi.eu.org/n6239ed//

著作権、さしあげます。【 ボツネタ無料!】


「ねぇ、和泉さんは?」

「……」

「ねぇってば、結衣!!」


 捜査本部の置かれた宇品東署の会議室。


結衣は聞き込みに回って得た情報を必死に報告書へまとめていたのだが、例によって和泉を探しにやってきた郁美が、先ほどからうるさくてかなわない。


 あと一時間弱で捜査会議が始まるから、それまでに書類を仕上げたいのに。


「……知らないわよ。あの人いつも変だけど、昨日からずっと変」


 朝からずっと和泉の姿を見なかった。

 昨日の朝、一緒に宮島へ渡って以来だ。

 

 仕方ないので今日は一日、所轄の刑事とコンビを組んだ。


「どこが具合でも悪いのかしら? もしそうだったら……私、何か栄養のあるものを作って差し入れ……」

 それだけはやめた方がいい!!


「メールでもしてみたら? アドレス知ってるでしょ」

「知ってるけど……」


 郁美はもじもじと机の上に置いてある、結衣の携帯電話をいじって答える。


「もし返信がなかったら……って、そう考えたら」


 まぁ、気持ちはわかる。


 返信がない、もしくは来たとしてもすごく素っ気ない。それは見込みがないということなのか、と女性の気持ちとしてはそう考えてしまうものだ。


「ねぇ、あんたの携帯貸してよ。発信元が結衣で返信がないんだったら、たいして気にもならないから」


 別にいいけど。すぐに返信があったらどうするつもりだろう?


挿絵(By みてみん)


「……送信……っと」


 それからしばらくして。携帯電話が短く震えた。


 和泉からの返信とは限らない。母親かもしれない。

 結衣は郁美の手から携帯電話を取ってメールを確認した。すると。


 気まずいことに和泉からだった。


『心配してくれてありがとう。夕方から復帰しま~す』


 顔文字はてんこ盛りだわ、ハートマークはやたら飛んでるわ、今まで和泉とメールの遣り取りをしたことがない結衣は驚いた。


「何よ、これ……」

 いつの間にか、携帯電話は郁美によって取り上げられていた。


「し、知らないわよ! だから、郁美が自分の携帯から送信してれば……!!」


 そこへ救いの手が差し伸べられた。


「うさこ、ちょっといいか?」


 班長! と、結衣は思わず明るい声で答えてしまった。


「悪いが、明日から東京へ行って来てくれないか?」

「と、東京ですか?」


「ガイシャのヤサを探って来て欲しい。あとは勤め先の出版社だな」


 東京かぁ~……遠いなぁ。


「はーい、わかりました」

 と、結衣が返事をするよりも先に、後ろから聞き覚えのある声がそう言った。


 嫌な予感が。

 

 ゆっくりと後ろを振り返ると……。


 和泉が笑顔で後ろに立っている。


「うさこちゃん、メールありがとう。心配かけちゃってごめんね」


 実はメールをしたのは私じゃない、なんて今さら言えない雰囲気になってしまった。


「聡さん、僕とうさこちゃんで行ってきます。それでいいですよね?」


「彰彦、お前……身体はいいのか?」

「何の話です? あ~、楽しみ。うさこちゃんと2人で出張なんて。ちなみに僕、飛行機苦手だから、新幹線で行こうね?」

「あ、あの……班長……?」


 これって既に決定事項なの? 結衣は涙目で上司を見上げた。


 隣にいる友人の視線が突き刺さって痛い。


「すまんな、うさこ。こいつの面倒をみてやってくれ」


 そう言われたら「はい」しか言えないじゃないの……。



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