閑話休題にゃ:1
イラストは志雄崎あおい様よりいただきました(^^)
『ねぇねぇ、プリン』
『なぁに? メイ』
『最近、ご主人様のお兄さん、ちょっと様子が変わったよね?』
『ああ、賢司さんね。メイったら、今頃気付いたの……?』
『だって、前は私達のことなんて路肩の石だったにゃ』
『路傍の石、ね』
『こないだなんて、通りがかりに頭を撫でてくれたにゃ?』
『ふーん。めずらしいわね』
『おやつくれたし、遊んでくれた。何か悪いものでも食べたのかにゃ~?』
『そうじゃないわよ』
『どういうこと?』
『少しずつだけど、変わりつつあるのよ。それにね。なんて言ったってヒマなの』
『……ヒマ……』
『お嫁さんも弟もお仕事だって、家にいないでしょ? 自分は具合が悪くて外に出られないし、これといって趣味もなければ、友達もいないの』
『プリンって、毒舌にゃ……』
『……本当はね、賢司さんはとても優しい人なの。ただ。あまりにも不器用で、悲しいことがたくさんありすぎて、いつしか心が凍りついてしまったのよ』
『ふ~ん……』
『あなたの大好きな和泉さんも、そう。あの2人、よく似てるわよね』
『どっちもイケメンにゃ~』
『そうじゃなくて……まぁいいわ』
『メイはやっぱり、和泉さんが好きにゃ』
『それは知ってるわ。とにかく、話を戻すわよ。似た者同士の2人、いつも傍にいるのはみんな、お人好しを絵に描いたような人ばっかりでしょ?』
『そうだにゃ~……ご主人様は単純極まりないし、お姉さんは優しいし』
『和泉さんのお父さんも、まわりにいる刑事さんも皆、上にバカがつくほど人が好いでしょ?』
『ほんとにゃ』
『だから、段々と溶けかけてきているのよ』
『アイスクリームみたいにゃ~』
『……ハーゲンダッ○は溶けかけがおいし……なんでもないわ。とにかくね、彼らの過去にあったいろいろは、その内きっと明かされるから。長くて先が見えない話だけど、最後まで見守って欲しいの』
『わかったにゃ!』




