84
太陽が眩しい夏の海。
なんとか芋煮会の洗脳を解いた魔女が、白雪姫を追い払ってスイカを砂浜に置きます。
「さぁ鏡、スイカ割りをしましょう」
「はい、しましょう」
「まずは鏡の番。目隠しをするわよ」
「人間の多い公共の場で真昼間から目隠し、それも下着同然の布一枚という状態。スイカ割りっていうのは楽しいですね」
「謝って、海に関わる全ての人とスイカ農家の人に謝って」
「そうこう言っているうちに目隠しされました。さてスイカはどこか……」
「鏡、もっと右よ、右」
「右ですか」
「あら行き過ぎ。今度は左よ」
「おっと左、左……」
「もうちょっと前に…………逃げて! 鏡、逃げて!」
「えっ」
\パリンッ/
「まさかスイカからの反撃があるなんて思わなかったわね」
「えぇ、まったく。驚いて一瞬鏡に戻っちゃいましたよ。スイカ割りならぬスイカ割られになりました」
「まぁでも、せっかく美味しく育ったのに、目隠した人間にキャッキャはしゃがれながら砂浜でボコられるんだから、そりゃスイカも反撃したくなるわよね」
「そうですね。あの瞬間どこからともなく『白雪式遠隔暗殺拳』が飛んでこなければもっと割砕かれていたでしょう」
「あとで白雪姫にはスイカとお芋をあげましょう」




