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王の住まう城の地下。
魔女が羽のない扇風機を不思議そうに眺めています。
「夏ですね、ご主人様。海に行きましょう」
「あら魔法の鏡、海に行きたいの?」
「夏といえば海です! 青い海、そこかしこに散らばるゴミ、聞こえてくる波の音、岩場のフナムシ、海岸でバーベキュー、スイカ割りに興じるウェイウェイうるさい若者!」
「褒めるか貶すかどっちかになさい」
「足裏にまとわりつく砂の不快感、ウェイウェイうるせぇウェイ族!」
「まさかの貶す方向。あんたウェイ族になにをされたの」
「そして何より、海は合法的に下着一枚同然の姿になれる場所です!」
「謝って、海に関わる全ての人とウェイ族に謝って」




