59
王の住まう城の地下。
まだまだ魔女は昔を懐かしんでいます。
「勝手に生贄なんて贈ってくるし何でもかんでも私のせいにしてくるし、堪忍袋の緒が切れてそれから直ぐに国を出たわ」
「悪いこと全て押しつけられて勝手に生贄まで捧げられれば誰だって呆れ果てるってものですね」
「飢餓や大災害以前にも、やれ日照りは魔女のせいだ、森の獣が荒れているのは魔女のせいだ、カメムシが臭いのは魔女のせいだって、うんざりよ」
「最後のはぶち切れて良い案件」
「でも人間共の期待に応えるために、最後は魔女らしく振る舞ったのよ」
「おっと、ここでまさかの悪い顔」
「生贄の娘が『死にたい』って言うから不老不死である魔女の仲間にして、国に置いてきてやったわ」
「生贄にしたはずの娘が魔女に……。国はさぞ阿鼻叫喚地獄絵図でしたでしょう」
「魔女の怒りを買うほうが悪いのよ。考え得る全ての災厄を被って国が滅びたなんて、私の知ったこっちゃないわ。ほほほほ」
「さすがご主人様、なんとも魔女らしい」
「そのあと私は別の土地で美味しい乳酸菌飲料を売り捌いてたから国のことなんて知らないわ、ほほほほ」
「ヤク○トレディーじゃないですか」




