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王の住まう城の地下。
新年早々、鏡がガタガタと震えています。
「俺を開くつもりでしょう! 鏡開きみたいに、鏡開きみたいに!!」
「…………」
「…………」
「…………気は済んだ?」
「済みました。というわけで、あけましておめでとうございますご主人様」
「おめでとう、魔法の鏡。早いものでもう新年ね」
「えぇ、あのクリスマスのサンタクロース垂直落下事件からあっという間でしたね」
「あれは悲しい事故だったわ。それはさておき、やはり新年だもの初心に返らなきゃ」
「そうですね」
「というわけで。鏡よ鏡、答えておくれ。世界で一番美しいのは誰?」
「俺です」
「開いてやろうかしら」




