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王の住まう城の地下。
あわてんぼうのサンタクロースは落ち着いた事によりアイデンティティを失い消滅しました。
「なんて悲しいクリスマスなの……。でも大丈夫よ、だって今日はクリスマスだもの」
「おやご主人様、大きな靴下を用意してどうするんですか?」
「魔法を使うのよ。大きな靴下を飾った暖炉に火を灯し、必要な道具を並べた床に魔法陣を書いて、暖炉の火を紫色に変えて」
(そして芋を煮て)
「随分と大掛かりな魔法ですね」
「まだ終わらないわよ。紫色に変わった火を蝋燭に移して、その蝋を魔法陣に垂らして」
(さらに芋を煮て)
「おぉ、魔法陣が光り出しました! 魔法の発動ですね!」
「そうよ、これで慌ててないサンタクロースを召喚するのよ!!」
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「慌ててないサンタクロースは呼べましたが、なんで芋が煮えてるんでしょうか」
「よく分からないけど召し上がっていただきましょう」




