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王の住まう城の地下。
魔法の鏡が童話『大富豪』を語り始めます。
「昔々、雪が降る寒い街中でマッチを売る一人の少女がいました」
「ふむふむ」
「少女は震えながら必死にマッチを売りますが、人々は足早に素通りして見向きもしません。寒さに耐えられなくなった少女は、売り物のマッチを一本手にして擦りました。その時です! 一人の男が札束を手に現れました!」
「誰なの……まさか!」
「そうです、大富豪です! そうして、少女は多額の金を受け取り、大富豪はマッチを手に去っていきましたとさ。めでたしめでたし」
「金で解決するスタイル、嫌いじゃないわ」




